画家 齋藤芽生の日記 Twitter/ @meosaito


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カテゴリ:旅( 92 )

島日記3

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8/7からの『絵画思考』展および『芸大油画教員展』の仕事を島まで持って来ている。
期日までに二枚描ききらなければ、自腹きって東京に帰り、この絵を会場に直接持ち込むはめになる。

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by meo-flowerless | 2013-08-01 10:05 |

島日記2

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朝の雷と大雨で目覚める。
昨夜の制作では疲れがたまってて、眠りながら手だけは絵を描いているという二十年ぶりの状態を経験した。朝見ると他人が描いたような粗い筆跡になってて焦る。

朝のうちに別の島に渡る行程をやめた。雨がやんで昼すぎ母を国民宿舎に迎えに行く。
母は楽しそうにしている。
でも私は常に心のどこかで、小津安二郎の映画みたいに親が一抹の寂寥を感じていやしないか、と心配でならない。

げんに今日が母の誕生日だということ忘れていた。
旅行させることに夢中になっていて、肝心のことを。

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by meo-flowerless | 2013-07-31 10:08 |

島日記1

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誰が縛りたかった訳でもないが長いこと家に束縛され続けた、母を遠い旅に連れ出す。
父も連れて行きたいが、体がもう利かない。父は、母を一人で行かせることをよく許してくれたと思う。
父には何十年掛かった決断だったのかも知れないが、それをいまさら気付くには父の齢は疲れすぎている。いまごろ静かに昼寝しているだろう。


新幹線から母が嬉々として見ている風景は、毎度誰もが当たり前に眺めているような、田のむこうの小山に霧がかかっている普通の日本の風景だった。
「こういう霧がかかった山がずっと見たかった」
それすらを見なかったはずの歳月を感じて愕然とする。
「列車から垂直に延びてる道を見ると無性に哀しいのはなんでだろ」
とも、母は言った。平行に続く道にはなにも感じないのに。
「他人の人生に向かって離れてく気がするからじゃないの」
と自分で思わずこたえてみて、ああ私も、踏切などから垂直に離れていく道に全く同じ悲哀をいつも感じていたなと気付く。

並び沿っていくものよりも、交錯しすれ違ってゆくものに反応する。親子の人生はやっぱり似てる。

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by meo-flowerless | 2013-07-30 09:29 |

ソウルマーケット・カラー 〜新設洞の鼠色市場

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ソウルの街に感じる既視感は独特なものだ。
日本の町並みによく似ていて、でも絶対に日本ではない。
一番近い隣国だから当たり前なことなんだが、北京なんかのはっきりした異国感覚とは、ひと味違うのだ。

よく知る風景が少し凝縮されすぎていたり、一部白黒になっていたり、奇妙に道が通じ合っていたり、部分的にあり得ないほどカラフルに感じたり。
「夢の中でよく起こる時空のねじれ」みたいなものを、実在のソウル風景に感じる。


今回の旅の目的は、ソンジュアートセンターでの『大竹伸朗』展。
居心地よくてきれいな三階建ての美術館の壁に、ハングル文字で書いた大竹さんの名と角張った蛍光ピンクの大竹文字が鮮やかに浮き上がっている。
棒状ネオンの新作の独特の虹色感覚は、その後徘徊したソウルの光と、ものすごくシンクロした。
作家がある土地の光景に包まれてどんなものを見たのかな、と作品から追想していくのはとても楽しい。
特に大竹さんの作品を見ると、ものすごい細部にも風景が宿っている気がする。地球のいろんなところの片隅に豆電球のように灯っているあくなき風景たち。


三清洞辺りを歩くという画廊の高砂さん編集の吉田さんと一時別れ、私と夫は東大門の先の「風物市場」へ足を伸ばす。
二階建ての建物の中に古物商が集まっているらしい。
何でも転がっててないものは無いという噂の、ごった煮の蚤の市だという。

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by meo-flowerless | 2013-01-16 04:59 |

水辺の迷い家

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硝子張りの妙に四角い、大きな屋敷だ。広く美しいのに、暗く誰一人居ない。
いたる所に反射のかたちが光っているのは、その建物が水上建築だからだ。
黒いほど青い空のせいで暗く思える真昼なのか、薄暗い夕暮れなのか、わからない。
松かなにかがしんと水面に逆さに映っている。
何十畳もある部屋の四方は、赤い欄干に囲われた回廊だ。



私はそこにその日から住むことになっている。で、戸惑っている。
どうも何か災禍から逃げてきたような、たった一人だけ無事に保護されたような気がしている。
家具も調度品もなく同居人もいない、がらんとした大広間にたった一人で。
心細さの中から、何ともいえない孤独への変な期待感が、わくわく沸いている。



.......という感じの夢を何年かに一度見る。

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by meo-flowerless | 2013-01-08 04:20 |

蒲郡大悲殿

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凶々しいくらい懐かしいのか、懐かしいから凶々しいのか。
とにかく、探しているのはいつもそういう風景だ。


斜陽はいろんなものたちの影の具合を変える。
平凡な日々の気配が思わぬ暗みに吸い込まれる。
心も、あり得ない落とし穴の奈落に落ちてく。
 

寒風にちぎれるような山頂には、不釣り合いなくらい眩しい西日が燦々と射していた。
背後には巨大な弘法大師像が黙って立つ。
「遠いけどこれからあそこ目指していく。ダイヒデン」
と夫が海沿いの町並みを指した。


愛知は三河、蒲郡。
ガマゴーリという地名の古くささと、逆光の悲劇的な感じのせいなのか、
京都に昔あったというアジール・悲田院のイメージと間違えて、
ダイヒデンは大悲田と書くんだと勝手に想像した。

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by meo-flowerless | 2013-01-04 01:27 |

虚構熱帯温泉

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教員部屋で二度寝をしたら、起きた時には草津宿舎は静寂の中にあった。
学生たちも助手たちも思い思いに自由日の、目的地へとっくに出発したらしい。
パスパスと気の抜けたスリッパを引きずり階下へ下りる。
玄関のテレビの昼ドラを、宿の職員たちがやたら真剣な眼差しで見入っている。


ああ、皆にはぐれてしまった。置いてけぼりをくらって、一人。
でもけっこう嬉しいのは、なぜだろう。
そう。久しぶりの孤独。誰とも会話をしなくていい一人の自由時間だ。
二度目の草津研修旅行引率だが、今日は前と違った眼差しで写真を撮ろうと思い、ボケレンズをつけたカメラを持ち出す。そもそも霧だというのに。

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by meo-flowerless | 2012-07-11 02:45 |

金峯山寺秘仏開帳

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桜に煙る、ではなく、「緑に燃える吉野の山」を訪れた。
トコトコと、短い近鉄電車が山河の中を切り分けて進む。
以前の関西の旅でも思ったが、近鉄電車の車窓風景はどこも、自分の夢の中の迷子感覚に近い風景なのだ。ここは夢で訪れたな、とよく思う。
奈良の山河。
陰鬱な山の緑、青黒い川の反射、やけに縮尺の小さい黒ずんだ木造の家並み。
物憂さと不穏さの先に、痛切な懐かしさが一本貫き通る。



東京でのある日。
電車の中吊り広告で、見たこともない青い肌の鬼神像三体の美しい写真を見た。
どこかの暗い堂内の闇。あやしく壮絶な色彩が浮かび上がる。
アジアのどこかの神々かと一瞬思ったが、まぎれもない日本の仏像らしい。



「金峯山寺」。修験の山奈良・吉野の、国宝級寺院の秘仏開帳だという。
あんな大きな、しかも晴れ晴れとした仏像が日本にもあったなんて知らなかった。
観に行きたけれども吉野は遠し.......と、遠く眺めていた。
が、勤め先の大学で、古美術研修旅行の引率として代理で「奈良に行け」とのお達しが。

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by meo-flowerless | 2012-05-16 03:04 |

野衾たちの温泉 その二

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一体自分は、何を求めて鄙びた温泉に来るのか、自分でも解らない。
理屈ぬきの「感情が必要とする」風景。というのが日本人にはきっと昔からある。
詩や唄は、そんな場所の、闇に落ちる雫の音だった。



闇の匂いのしない闇、というのが存在する。ということを考え始めたのは最近だ。
悲恋の道行を思わせる濡れた夜闇なんか、安易に期待しがちな自分でも、さすがに悟らないといけない。この土地伊香保にもふと感じた、人の心の深淵とはまた違うもの。
おそらくは、あまりに乾き切った社会の黒い孔。
まあ....あまり縁はないたぐいの闇だ。ここで深追いはするまい。

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by meo-flowerless | 2012-02-23 02:39 |

野衾たちの温泉 その一

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有名温泉だからこそ、人の見ようとしない「隙間」が面白いのではないか。
....なんて、淡い期待をつい抱くのである。
湯治にも、美食にもレジャーにもまったく興味のない私ら貧乏チームは、ただ「情景の残滓」のようなものをひたすら求めて歩くだけなのだ。



それでも、なかなかやはり、歯の立たない観光地というのは多い。
マイカーでやってきて、閉ざされた高級旅館やホテルに籠り、一夜の湯とゴロ寝と酒とまんじゅうだけを楽しんで帰って行く....都市の観光客の群れの中。
カメラの向けどころの違う私と相棒は、もう充分に浮いている。



誰もが名を知る、かの伊香保温泉にやってきた。
一泊三千円くらい、素泊まりのこの辺りでは珍しい安宿をお宿に定め、チェックインよりずっと早い朝の内うちから張り切ってやってきた。

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by meo-flowerless | 2012-02-22 03:11 |