画家 齋藤芽生の日記 Twitter/ @meosaito


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島日記8

若いとき、暗い心の中で何度か思ったことがある。
「人生はもっと美しいはずなのに」
そのときの悔しさは切実だった。
結局そのあとに、
「やっぱりこんな美しい瞬間があるんだ」
と思えることにも出会えた。


ただし今40歳のこの先、人生は美しいはずなのにと言う、歯噛みするような思いをもう一度するとしたら、今度こそその悔恨は本物になるだろう。







今日朝一番の舟で島を出てから七時間の東京への通勤時間は、疲れたが、決して徒労とは思わなかった。
夜明けの瀬戸大橋、新幹線で眠りながら聴く音楽、ひとり駅で食べるご飯、すべて私の人生の光景と思えるからだ。


けど東京について、ほんのわずかな職場の話し合いの合間に襲ってきた、あのどす黒い不安が、取り返しのつかない悔恨をつれてくるような気がした。
この場で一人ひとりの役職はあろうが、自分の人生にまで役割があるわけじゃない。そのはずの境界がどんどん黒ずんで混濁していく薄ら寒い未来図を見た。


組織の一部分になってしまおうが、作家とは名ばかりの道化になりすましてしまおうが、薄ら寒いのは同じだ。
「人生ってこんなもんなんですか」と言う若い問いにだって、
「こんなもんですよ」としか答えられなくなるんだ。


こんなもんじゃないしそんなはずはない。
追い求めることも伝えるべきことも、その一言に尽きるだろうに。
by meo-flowerless | 2013-08-08 01:28 |