画家 齋藤芽生の日記 Twitter/ @meosaito


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ホーチミン日記8.18-2

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午後は、念願の「チョロン」地区へ。
チョロンとは地名ではなく、大きい市場街というような意味の地域で、屋根つき施設の大きな「ビンタイ市場を」中心とした、中華系問屋街の総称だ。
東京で言えば合羽橋やら蔵前やら浅草橋と、横浜中華街が合わさった感じ。
でもその熱気と言うか混沌の風景は、とてもとても日本人が自国で今の時代お目にかかれるようなものとは違う。


昨日は市の中心部の「ベンタイン市場」へ行ったが、これは観光客にも対応したスレっからしたところのある綺麗な市場だった。
けれどチョロンは、本当の中華系ベトナム庶民の生きる場としての問屋街だ。
タクシーが市中心部からはずれチョロンに近づくごとに、夢のなかで見たような捩じれた猥雑さを持つ混沌景が繰り広げられていく。
ありとあらゆる声の出し方のクラクションでお互いを牽制し注意をしあって、轢かれそうになっても何も気にせずバイクと車が進路を絡ませる。
日本人が住みついてもまずこの交通事情でストレスに陥るだろう。日本の硬質なスピード感覚、真直ぐな進路感覚で道を歩いたり走ったりすると、かえって危険だ。


バイクと同速度でゆく自転車のドラえもんガール。ドラえもんはベトナムで根強い人気キャラクター。

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# by meo-flowerless | 2014-08-19 08:43 |

ホーチミン日記8.18-1

午前中のうちに、ホーチミン市立美大にて、このプログラムの開会式があった。
ベトナム、タイ、カンボジア、ラオスはそれぞれ近いので各美大同士の交流もある。極東から滑り込むような形で、芸大はこの東南アジアの交流に名乗りを上げたのだ。
芸大の偉い先生方は「東京芸大がいずれアジアのリーダーになるべく、交流の礎石を置いてこい」みたいなことを一応私に言っていたんだけど、そんなたやすいことじゃないし、そういう感覚ではいずれ何もかもから取り残されるような気がする。



ベトナムを初めとした東南アジアの国々が経験している様々な他国からの蹂躙と干渉の歴史、少数民族の存在、その結果による複雑な文化の絡まり具合。
一方、自国の文化が奇跡的な形で温存されているタイの人々の優雅さと誇り高さ。
背景を知らないまま近づいたところで、本当の意味での交流はなされないだろう、と感じる。

この市立美術大学にしても、「国立」ではないのは社会主義の国だからだ。国家は自由な芸術活動を奨励するわけがない。ベトナムの美術家たちは先鋭的であればあるほどアンダーグラウンドでの作家活動を余儀なくされていると言ってよい。
学生たちの作品は大まかに言ってやはりソビエト時代の美術の影響を受けたものがほとんどで、素朴な写実油彩や、労働や戦争をテーマにしたプロパガンダ的彫刻などが主だ。
そのなかでベトナムの伝統として温存されているのが「漆絵」「絹絵」のジャンルで、これの専門セクションは芸大で言えば日本画のように、絵画科の一部になっている。


かれらは頑なに自国の歴史をこちらに突きつけるような硬い態度を取るわけではない。
柔らかく細くしなる竹。それが東南アジアの第一印象だ。



日本のメンバーは私の他に、通訳のジャック、彼は米国からの留学生で博識な博士三年生。
高倉君はレバノンから帰国したばかりの第四研究室の卒業生、通訳可能なほど英語は堪能。
後藤さんは技法材料研究室の非常勤講師の女性。
西岡さんは日本画家の教育研究質の女性。


現地へ来てやっとその日その日の細かい時間スケジュールが発表された。
10日間のうちの初めのほうは、午前中に合同で様々な施設を見学、午後は自由、と言った形。
それでも朝、昼、晩はホテルに帰って食卓につくということが基本。
日本の旅館の食事つき宿泊とはまた違うのだろうが、食事に関しては外食抜きではなかなか不便ではある。

ベトナム料理は日本人の口に合うだけではなく、とにかく味のセンスがいいと言うか、何を食べても美味しい、と感じる。
すぐ隣にあるでかいスーパーで買うポテトチップの味付けまでもが、程よくガーリック、程よく肉パウダーが効いていて美味い。
二度目に訪れた漠然とした感想から言うと、悶絶するほど上手いレストラン飯を毎色食べて胃が疲弊するよりも、一汁一飯三菜を毎日違う形で簡易に出してくれるホテル飯のほうが健康的でいいのかもしれないけど。
# by meo-flowerless | 2014-08-19 08:29 |

ホーチミン日記8.17-2

四時ちょうどくらいにお約束のスコールが降ってきて、またお約束のように止んだ。
私達のいる二階建てのホテルは、ビジネスでグループ宿泊するときの離れのヴィラのようなもの。
一日中となりのテニスコートから誰かのプレーする声が聞こえてくる。
赤いカーペットの廊下に新しい旅行客の男性陣、あれはきっとカンボジアの美大の先生方だ。
手を振ってみたら物凄く人なつこくみんなよってきて、お互い挨拶を交わした。


私達日本のグループは、ホテルでの夕食前にちょっとでもいいから、とタクシーで、市の中心部ベンタイン市場へ。
カラフルな虫のようなバイクの光景は、二度目の目にはもう珍しいというより包装紙の模様のようなデザイン的なものに見える。



味のわからない味つき煙草かなにかのエキゾチックな紙箱と銀紙をくしゃくしゃっとしたような、アジア的アルファベットの看板群。
フランスの植民地時代の名残のアパート建築群はどんなボロ屋であっても麗しい感じ。水色にひしゃげたリンドウの花のアールデコ調鉄柵に、安いお菓子色した洗濯物が引っかかっている。
コンクリートの壁がはげて結露とともに腐れ落ちそうだ。しばらく土の眠りから覚めることのない静まりきった過去の怨念を感じる。

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# by meo-flowerless | 2014-08-18 00:58 |

ホーチミン日記8.17-1

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最近偏りきっているtwitterからじゃないのは、ここがベトナム・ホーチミンだから。
wifi環境はあるしネットは繋がり放題だが、twitterだけはアクセス出来ないのは、社会主義国ゆえの制限が掛かっているとかいないとか。
でも、久しぶりに旅行の手記を書くには、ブログのほうがいい。
最近長い文章を書く暇も書く気持ちも持てなかったけれど。ぼつぼつ再開するか。
去年も今ごろ小豆島の手記でブログ再開したんだよな。


観光旅行ではなく、完全に大学の仕事である。
学長が七月に訪越した際に、ホーチミン市立美術大学での、アジア各国美大・絵画系教員サマーセミナーの参加を決めてきた。
けれど、夏休みひと月前に急に東南アジア出張を決められるような余裕のある教授は、あまりいない。
私は話を伺って、二つ返事で承諾したのだが、他の四人の招待枠は教授たちではなく、卒業生、助手、非常勤講師、博士三年の若いチームとして構成された。
ので、気楽で楽しい。


夜中の一時に羽田を発って、タンサンニャット空港についたのは朝の五時。
それでも、先方の漆画のミン先生が、自ら車でホテルに送り迎えしてくださる。
事前にはあまり知らされなかった日程と、10日間の内容が、何となく今朝になって明らかに。
明日から芸大、ラオスの美大、カンボジアの美大、タイのシュラパコ−ン美大各5名ずつ計20名の先生が、同じホーチミンのホテルで寝起きと三食をともにし、ホーチミン市立美大で絵画制作と展示、そして最終的に3日間のセミナーを行うのだ。
自由な観光旅行ではなく、本当に学校の交流のため。
今日だけが完全にフリーな日だ。


早朝からホテルで残りの睡眠を取っていたが、私と同室の日本画の助手の西岡さんは、けっこう自分とも似通った気質があるのか、そわそわしてすぐ起きてしまった。
ので、炎天下の正午前に近所のスーパーまで二人で出て、初買物。
観光客としてまだ緊張感はあるものの、二人ともすぐにカラフルでキッチュな混合アジアグッズの世界に心奪われ、いろいろ買い込んでしまう。

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# by meo-flowerless | 2014-08-17 14:34 |

香星群アルデヒド・第九回

短編小説・香星群アルデヒド
第九回 UPしました。

http://www.geishin.co.jp/comunity/27/9.html
# by meo-flowerless | 2014-06-28 10:55 | 告知

多摩美にてレクチャー

本日6月14日(土)、多摩美術大学芸術学科21世紀文化論の枠で、講義をさせていただきます。た


ー 『其の世の博物学』齋藤芽生 レクチャーホールBホール 13:00開場 ー
多摩美術大学八王子校舎にて。
興味のあるかた是非どうぞ。

# by meo-flowerless | 2014-06-14 10:41 | 告知

香星群アルデヒド・第八回

短編小説連載 『香星群アルデヒド』 第八回、アップしました。


http://www.gei-shin.co.jp/comunity/27/8.html
# by meo-flowerless | 2014-05-27 23:23 | 告知

山下裕二さんとの対談、「美しき畸形」

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齋藤さんはウルトラ・ドメスティックだよね、という言葉で盛り上がった山下裕二先生との対談。
ウルトラ・ドメスティックって、北新宿辺りの雨のアパートで繰り広げられるドメスティックバイオレンスっぽくて、いいですな。
直訳なら超・国産的とかいうことなのだが。
私にとってはずっしりと密度の詰まった、自分への形容を頂いた、と思った。



対談の中で心に刺さった山下先生の言葉は、「美しき畸形」という言葉。
畸形は奇形という字じゃない、とも。
「日本のドメスティックなものを『美しき畸形』と自分は呼びたい。洋楽の刺激を受けながら奇妙に捩じ曲がった昭和の歌謡曲は、『美しき畸形』だ。それに、明治の日本の絵画もそうだといえる。美しき畸形と言える以外のものには心を惹かれたりしない。思春期に洋楽に皆かぶれていたりしたけれど、歌謡曲のあの感覚の前にはなにほどのものでもないと感じていたし、西洋美術だって、自分は本当には心を動かされなかった」
というお話。
大竹さんも都築さんも中野さんもそうだったけれど、やはり自分の憧れる人、陰ながら励ましの言葉を頂ける「おとな」には、どこか共通する感覚がある。

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# by meo-flowerless | 2014-04-20 23:15 | 絵と言葉

個展初日・御礼

昨日は、私の個展の開始日だった。オープニングパーティを開催致しました。
来ていただいた方々、見てくれた学生、手伝ってくれた人々に心からの感謝を申し上げます。
本当にありがとうございます。



私自身は本来パーティやイベントが実は大の苦手なのだが、「美術作家という一つの職種を営む」上で必要な人との関わりの中で、晴れの舞台がどういうように必要なのかということを、年を重ねるにつれ学ばせてもらっています。
本来は静けさの中でいろいろな対話をしたり、作品を自由に眺めていただきたいとも思いはあれど、一度しかない人生の中でああいう場所でいろいろな再会や邂逅が交錯するのは、それも一つのドラマなのだと思います。



そしてトークショーにも沢山の方に集まって頂きました。
山下裕二先生のお話によって会場がとても濃密な一体感に包まれた気がします。
あと一時間長かったら、二人とも歌謡曲を歌いだしたような...気がする。
自分にとってそういう雰囲気ほど幸せなことは、他にない!
# by meo-flowerless | 2014-04-20 22:54 | 告知

香星群アルデヒド・第六回

短編小説連載 『香星群アルデヒド』 第六回、アップしました。


http://www.gei-shin.co.jp/comunity/27/6.html
# by meo-flowerless | 2014-04-11 20:03 | 告知

個展 『香星群アルデヒド』

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『香星群アルデヒド』   
齋藤芽生展
2014.4.19(土)~5.24(土)


ギャラリーアートアンリミテッド

協力:岡部版画工房 芸術新聞社


営業:13:00-19:00 (4.19のみ22:00まで営業)
休廊:日曜、火曜

トークイベント:4月19日(土)
齋藤芽生 (画家)×山下裕二(評論家)
開場16:40、トーク17:00〜18:30
要予約 info@artunlimited.co.jp 定員30名  料金1000円
 
日本美術研究者であり、現代でもっともアクティブな評論家の山下裕二氏をゲストに迎えて齋藤芽生との対談。初個 展以来、齋藤芽生を見続けて来た山下裕二氏と初の対談。


オープニングパーティ:4月19日(土)
20:00~21:30

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# by meo-flowerless | 2014-04-05 22:30 | 告知

四畳半店頭みくじ!

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男と女の『四畳半みくじ』、各書店に現れ始めているようです。
芸術新聞社さんのTwitterから写真をお借りしたのですが、これは丸善丸の内本店、書店店頭にてのおみくじディスプレイです。なんか不思議な夢みたい。
箱の穴に手を突っ込んでおみくじを、ひいてください!


私はまだ家にて制作浸けで見に行けていませんが.....
本当に芸術新聞社さん、誰より根本さんには心より感謝しております。
みんなみくじひいてくれるといいなあ。
気軽にくじを引いてみて、思わずディープすぎる内容に愕然としたり、して欲しいです。



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また、先日の東京新聞にもこんな広告が。
これはすごく、本を出版させてもらった!という実感が湧いてきます。
[本邦初のおみくじ文学を堪能あれ!]に、しびれます。



心がざわつく愛のおみくじ集。
ひねりの入ったプレゼントとかにもどうぞ。
まだイマイチ目覚めていない恋の相手や涸れはてた伴侶に、性教育ならぬ情操教育ならぬ、情念教育をして差し上げてください。
もしそれでふられたら、すみません。


おおっぴらな「恋愛」のようすを描いているというよりは、かくされた「慕情」を秘密裏に言い当てる、といったほうがいいでしょうか。そういうことにピンと来たら、買いましょう。
# by meo-flowerless | 2014-04-02 18:04 | 告知

『四畳半みくじ』発売!

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男と女の『四畳半みくじ』、発売になりました!
大きめ書店には、おみくじを引けるボックスも置いてあります。
早く引きにいこう!


四畳半みくじは、2008年の美術展に出品したおみくじインスタレーション作品でした。あの当時からみくじの数も増え、より濃厚な内容になっています。
一見エンターテイメント性の強い作品にも思えますが、よく読んで頂くと、内容は人生の切実に迫ったものとなっています。
思春期のもやもやから結婚後の倦怠、老年の枯れまで、長い人生の点景を描写しています。長い時間お手元に置いて頂き、ふと忘れた頃に頁を開いてその年齢なりの苦さの映し返しに出会うような、そんな本になってくれたら、と願います。


私の世界観は到底、爽やかな浄化や救いからは程遠いものだと思います。
ただ一つ自分の伝えたい世界があるとするなら「表には曝け出しようのない涙や虚しさ」への許容なのかな、と思います。


痛みを避けてなかったことにした身体よりも、痛みを通過した身体にこそ手応えのある歓びの瞬間も訪れるような気がします。
人前に出したら恥ずかしいような濃厚な感情を、少なくとも自分自身だけは内部でちゃんと認めてあげる。それは切実に大事なことだと感じています。
私の持つ世界が、何処にあるのかわからないが何処かに確実に、そういう濃厚な感情を黙って守り切るための温床として誰かのために存在できるのなら、本望です。















# by meo-flowerless | 2014-03-30 12:34 | 告知

香星群アルデヒド・第五回

短編小説連載『香星群アルデヒド』・連載第五回 アップしました。

http://www.gei-shin.co.jp/comunity/27/5.html
# by meo-flowerless | 2014-03-13 12:02 | 告知

香星群アルデヒド・第四回

短編小説連載『香星群アルデヒド』・第四回、アップいたしました。

http://www.gei-shin.co.jp/comunity/27/4.html
# by meo-flowerless | 2014-02-27 14:58 | 告知

日記

ソチオリンピック終わる。
競技自体を張り付いてみていたわけではないが、楽しめた。
一つには、憧れのロシアの地でのオリンピックだということ。
小さい頃モスクワオリンピックを観ることができなかったゆえ、今回は初めて観るロシアの表現の底力みたいなものを感じた。


特に開会式と閉会式は、心の奥に来る感動を感じた。
北京の「壮大さ」とも違う感動、古いのだとバルセロナやアルベールビルもよかったが、ああいう「趣向の美しさ」と違う感動だ。
普通の欧米圏が24色の色鉛筆で何かを描写しているとしたら、ロシアは60色くらい使っているのではないか、という思いがする。
それは単なる虹色的なカラフルさという意味ではなく、エモーションの翻訳をそのくらいの振幅で使い分け演出することが当然、というような感じの意味である。
人間の内面と内面同士の疎通を普通に信じている、複雑さの表現である。

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# by meo-flowerless | 2014-02-24 04:18 | 日記

仮眠景24・山岳寺院

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寝惚けながら手洗いに立ったら、そのまま道に迷ってしまった。
アジアのどこかの国の、夜の小路を彷徨っている。
靴下姿で、目覚めた時の半眼が張り付いたように直らないまま、異国に揺らめき出てていってしまった。


道の果ての山岳寺院の灯以外は、歩き続けられないほどの暗闇だ。
その遠い寺院から、何故か間近な感じで、異国的なお経と香気が流れてくる。
「たった一人で逃げよう」と願ってさっき眠りについたのだから、早くもその願いは叶ったんだ。
でも、取り返しのつかない闇に落ちてしまった気がする。
いったんこの眠い瞳を閉じれば、それが本当の死に直結している、のをどこかで認識している。

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# by meo-flowerless | 2014-02-19 15:29 |

仮眠景23・花言葉

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白昼の体育館の壁がうららかに日を照り返す。
体育館の中では一般公開現代美術講座のようなことをやっている。
言葉によるグルーピング、というのをその先生は重視しているようだ。
先生は私たち学生の持つそれぞれのキーワードを紙片に印刷し、体育館に並べグルーピングマップを作っているようだ。



私の名札は他人より大きくて、おそらくは重視してくれてるんだろう。
しかしキーワードカードに、新刊書のようにわざわざ銀色の帯が付いてて、そこに仰々しいキャッチフレーズがある。
『ふと……きづいたんです。私にとっての、花ことばを…』



そんなのは私が言った言葉じゃない。
でも先生はその場所に立ちながら、聴講生に説明している。
「この人は花言葉においてのみ、特別に抜きん出ている。だからこのグルーピングの山に位置する」
違うんだけどな、と思っていても、私は真昼の体育館を外の茂みから覗いているだけである。
繁みは、燃えあがるような桃色の花の海である。

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# by meo-flowerless | 2014-02-16 08:48 |

香星群アルデヒド・連載第三回

短編小説連載『香星群アルデヒド』・第三回、アップいたしました。

http://www.gei-shin.co.jp/comunity/27/3.html
# by meo-flowerless | 2014-02-12 14:51 | 告知

日記


タイムライン上で言葉を言い放ちながら会話が進んで、時間がどんどん前に進んでいくようなことが怖い。それが感情的な応酬になっていくと、そこには本当に、優越と苛立ちの繰返ししか見えてこない。


どうしても自分の言葉を反芻するタイプだし、例えれば書庫に大事にしている本の中から、何度も言葉を引っ張りだしたい。
独り言を磨き抜きたい。
名前の付けられない感情や意味のわからない情景がしまわれてる箱、みたいなものに自分はなりたい。
見る人が勝手に自分の感情と照らし合わせ、見たい時好きなように閲覧する百科事典、みたいになりたい。


人としてちゃんとした発言を、とか、ましてや公人として公人らしき文言を、なんて求められることがいやでしょうがない。しかもそういうたぐいの要請は加速性があるから。


人と対面していたとしたって本当は、意味のある・ためになるセリフなんか一切吐きたくない。
意味が無くても情は流れる、と信じていたい。
でも、そうもいかないらしい。
# by meo-flowerless | 2014-02-04 20:31 | 日記

巻貝

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昨日はなんとなく遠出して海へ行った。
土産屋のガラスケースに何年もありっ放しのさまざまな貝を眺め、いくつかの巻貝を買った。
巻貝、というと必ずある人を思い出す。


実家から一番近い駅のことなので、JRを通学に使っていた小学校のときのことだったと思う。
いつから知っていたのか定かではない。
でも数ヶ月おきに見かけては、身体がびくっとするほど、変にときめくのが常だった。


改札を出て人の流れに紛れ、階段を下りる手前の窓のところで、視界が一瞬絵画化してしまうくらいの厚化粧の女が立っている。歳は五十がらみだったのか、もっと年なのか。
鈴木その子ほど白くはないが、奥村チヨを十回塗り直したような顔の女性。
染めつけた真黒な頭髪をぐるっぐるにカールし、頭の上に、べっとりと糊にまみれた螺旋塔のように結い上げている。
あっ! 巻貝!と、いつも瞬時に思った。
団地の夜の壁に巨大な水色の蛾がビタッと止まっている、あれよりもっと恐怖と鮮やかさを感じさせた。

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# by meo-flowerless | 2014-02-02 00:20 |

香星群アルデヒド・第二回

短編小説連載『香星群アルデヒド』・第二回、アップいたしました。

http://www.gei-shin.co.jp/comunity/27/2.html
# by meo-flowerless | 2014-01-27 21:01 | 告知

仮眠景21・殴り雪

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冬の閑散とした海辺の住宅地の駅前を歩いていた。
海岸沿いに曲がっていこうとするその角、大型の真白なバンが、カーステレオ音楽の大きな音を立てている。
煩いな、と思ってそっちを見た。
すると、海に面したドライブスルーに入ろうとしていたそれが、私の一瞬の視線を察知するかのように、進路を変えゆっくりバックし始めたのだった。



相手はスモークガラスの、運転手の見えない車だが、確実に目が合った感じがあった。
私は何気なくきびすを返し、駅の方に戻り始めた。白い車がターンして、ゆっくり私の後方に回り始めた。
付け始めたのである。
心臓がばくばくする。走り出すわけにも行かない。心当たりは無いから、変な動きをしたくもない。




途中の路地でくるっと左折して車をまいた。車の音楽はすーっと通り過ぎ、駅の方へ行った。
まいたあとは、死物狂いで住宅街を走った。次第に泣けてきて、足も縺れるようだ。
あの車のカーステレオの音楽がまだ街のどこかに響いているが、それはゴミ車のオルゴール音楽のようなものに変わっている。
執拗に、オルゴール音楽の松任谷由実の『守ってあげたい』を鳴らしている。

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# by meo-flowerless | 2014-01-20 06:21 |

短編小説集『香星群アルデヒド』連載開始

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短編小説と絵による連載、齋藤芽生『香星群アルデヒド』が始まりました。
URLはこちらです。


http://www.gei-shin.co.jp/comunity/27/index.html

毎月二回更新の読切短編小説です。絵も小説もほぼ書き下ろし予定。
自分に取っては、イメージを発散できて楽しめる仕事になりそうです。

毎回読み切りの短編。
表紙ページの各小説のタイトルをクリックして、本文にお進みください。

芸術新聞社さんのページ、「ART ACCESS」の連載のうちの一つ。
今後ぜひお楽しみください!
# by meo-flowerless | 2014-01-12 19:59 | 告知

1/18、芸大油画4年卒業作品学内展示へ!

これ、絶対来てみて欲しいです。

平成25年度東京芸術大学・美術学部絵画科油画専攻

卒業作品学内展示 
ー アトリエでの一日限定公開ー

会期:2014年1月18日(土)9:00~17:00
会場:東京芸術大学上野校地 絵画棟5,6,7階アトリエ および 木工室前
観覧料:無料
レセプションパーティー: 18:00~ 東京芸術大学上野校地 大浦食堂



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本年度の油画学部生の卒業制作は従来の東京都美術館をはじめとする卒業作品展に先駆けて、学内アトリエを広域に利用し、より自由で魅力的な発表を可能とする展示を一日限定で公開致します。平面にとどまる事無く、空間を活かした展示形式、立体作品、映像作品など、絵画の可能性を広げる若々しい発想のもと、多岐にわたる表現が試みられています。
同日レセプションパーティーも行いますのでふるってご参加ください。


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# by meo-flowerless | 2014-01-10 22:56 | 告知