画家 齋藤芽生の日記 Twitter/ @meosaito


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香星群アルデヒド・第四回

短編小説連載『香星群アルデヒド』・第四回、アップいたしました。

http://www.gei-shin.co.jp/comunity/27/4.html
by meo-flowerless | 2014-02-27 14:58 | 告知

日記

ソチオリンピック終わる。
競技自体を張り付いてみていたわけではないが、楽しめた。
一つには、憧れのロシアの地でのオリンピックだということ。
小さい頃モスクワオリンピックを観ることができなかったゆえ、今回は初めて観るロシアの表現の底力みたいなものを感じた。


特に開会式と閉会式は、心の奥に来る感動を感じた。
北京の「壮大さ」とも違う感動、古いのだとバルセロナやアルベールビルもよかったが、ああいう「趣向の美しさ」と違う感動だ。
普通の欧米圏が24色の色鉛筆で何かを描写しているとしたら、ロシアは60色くらい使っているのではないか、という思いがする。
それは単なる虹色的なカラフルさという意味ではなく、エモーションの翻訳をそのくらいの振幅で使い分け演出することが当然、というような感じの意味である。
人間の内面と内面同士の疎通を普通に信じている、複雑さの表現である。

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by meo-flowerless | 2014-02-24 04:18 | 日記

仮眠景24・山岳寺院

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寝惚けながら手洗いに立ったら、そのまま道に迷ってしまった。
アジアのどこかの国の、夜の小路を彷徨っている。
靴下姿で、目覚めた時の半眼が張り付いたように直らないまま、異国に揺らめき出てていってしまった。


道の果ての山岳寺院の灯以外は、歩き続けられないほどの暗闇だ。
その遠い寺院から、何故か間近な感じで、異国的なお経と香気が流れてくる。
「たった一人で逃げよう」と願ってさっき眠りについたのだから、早くもその願いは叶ったんだ。
でも、取り返しのつかない闇に落ちてしまった気がする。
いったんこの眠い瞳を閉じれば、それが本当の死に直結している、のをどこかで認識している。

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by meo-flowerless | 2014-02-19 15:29 |

仮眠景23・花言葉

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白昼の体育館の壁がうららかに日を照り返す。
体育館の中では一般公開現代美術講座のようなことをやっている。
言葉によるグルーピング、というのをその先生は重視しているようだ。
先生は私たち学生の持つそれぞれのキーワードを紙片に印刷し、体育館に並べグルーピングマップを作っているようだ。



私の名札は他人より大きくて、おそらくは重視してくれてるんだろう。
しかしキーワードカードに、新刊書のようにわざわざ銀色の帯が付いてて、そこに仰々しいキャッチフレーズがある。
『ふと……きづいたんです。私にとっての、花ことばを…』



そんなのは私が言った言葉じゃない。
でも先生はその場所に立ちながら、聴講生に説明している。
「この人は花言葉においてのみ、特別に抜きん出ている。だからこのグルーピングの山に位置する」
違うんだけどな、と思っていても、私は真昼の体育館を外の茂みから覗いているだけである。
繁みは、燃えあがるような桃色の花の海である。

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by meo-flowerless | 2014-02-16 08:48 |

香星群アルデヒド・連載第三回

短編小説連載『香星群アルデヒド』・第三回、アップいたしました。

http://www.gei-shin.co.jp/comunity/27/3.html
by meo-flowerless | 2014-02-12 14:51 | 告知

日記


タイムライン上で言葉を言い放ちながら会話が進んで、時間がどんどん前に進んでいくようなことが怖い。それが感情的な応酬になっていくと、そこには本当に、優越と苛立ちの繰返ししか見えてこない。


どうしても自分の言葉を反芻するタイプだし、例えれば書庫に大事にしている本の中から、何度も言葉を引っ張りだしたい。
独り言を磨き抜きたい。
名前の付けられない感情や意味のわからない情景がしまわれてる箱、みたいなものに自分はなりたい。
見る人が勝手に自分の感情と照らし合わせ、見たい時好きなように閲覧する百科事典、みたいになりたい。


人としてちゃんとした発言を、とか、ましてや公人として公人らしき文言を、なんて求められることがいやでしょうがない。しかもそういうたぐいの要請は加速性があるから。


人と対面していたとしたって本当は、意味のある・ためになるセリフなんか一切吐きたくない。
意味が無くても情は流れる、と信じていたい。
でも、そうもいかないらしい。
by meo-flowerless | 2014-02-04 20:31 | 日記

巻貝

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昨日はなんとなく遠出して海へ行った。
土産屋のガラスケースに何年もありっ放しのさまざまな貝を眺め、いくつかの巻貝を買った。
巻貝、というと必ずある人を思い出す。


実家から一番近い駅のことなので、JRを通学に使っていた小学校のときのことだったと思う。
いつから知っていたのか定かではない。
でも数ヶ月おきに見かけては、身体がびくっとするほど、変にときめくのが常だった。


改札を出て人の流れに紛れ、階段を下りる手前の窓のところで、視界が一瞬絵画化してしまうくらいの厚化粧の女が立っている。歳は五十がらみだったのか、もっと年なのか。
鈴木その子ほど白くはないが、奥村チヨを十回塗り直したような顔の女性。
染めつけた真黒な頭髪をぐるっぐるにカールし、頭の上に、べっとりと糊にまみれた螺旋塔のように結い上げている。
あっ! 巻貝!と、いつも瞬時に思った。
団地の夜の壁に巨大な水色の蛾がビタッと止まっている、あれよりもっと恐怖と鮮やかさを感じさせた。

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by meo-flowerless | 2014-02-02 00:20 |