画家 齋藤芽生の日記 Twitter/ @meosaito


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大晦日

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みなさま良いお年を!
by meo-flowerless | 2013-12-31 18:02 | 日記

日記

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短編小説連載『香星群アルデヒド』開始は年明け、一月十日からを目指している。
自分は小説家じゃなくて絵描なので、どうしても絵のイメージが下地になる文章だけど、小説書いていくことに対しては、とても楽しさを感じる。

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by meo-flowerless | 2013-12-28 21:00 | 日記

仮眠景18・竹割山水

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メスシリンダーぐらい背の高いタンブラーグラスに、炭酸で割った鶯色の飲物が注がれている。
透明な泡、緑に深まる水、岩のように液体をせき止めているライムまで、液体を眺めていると、日本の渓谷景をくまなく見つめる眼の旅のようだ。
竹割山水です、と言いながら寺院の女性が、狭い竹林の卓上にそれを差し出している。


……


金色の海を見ながら、赤と黒の美しいオス鳥が横顔のまま、
「波打ち際が綺麗なんだ。わかるかい?」
と言って、クッと正面を向く。
頭はカンムリヅルなのだが身体はどう見ても鹿なので不格好であり、オスの語る愛に集中出来ない。

……

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by meo-flowerless | 2013-12-26 05:54 |

日記

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東京キネマ倶楽部でのEGO-WRAPPIN'のライブ「MIDNIGHT DEJAVU」を堪能した。
たまに聴きはしてたけど、初めて立ち会ったナマの体験の方が、圧倒的に良かった。凄い完成度。
脳を割る管楽器の破裂。確実な切れ味と伸びのある声。全曲これでもかと仕掛けられる極上の切なさ。


そう!せつない!これでもかと!


会場は、赤いデラックスな内装のかつてのキャバレー空間だった。
半円形の桟敷席から、バルコニーつきのステージを見下ろす。
小柄だが爆弾みたいにパワー秘めた天使の格好の中納良恵が眩しかった。会場の若い人たちのきらきらと憧れる熱っぽい目を、二階の暗がりから見ていた。

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by meo-flowerless | 2013-12-24 10:15 | 日記

仮眠景17・アンナマリア・ブラッドリー

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アンナマリア・ブラッドリーという名の洋風こけしが、高々と胸を張って、バイオリンを弾いている。


......


ローザンヌ・バレエコンクールをテレビで見ている。
相変わらず辛辣な女解説者が、一人一人の出場者の衣装について細かくこき下ろす。
が、自分には、一つ一つが、全部違う色の鳥のような、精巧な細工に見える。
それらが一センチ大に小さくなり、すべて違う色の指輪になって、十本の両手の指に踊っている。


......



赤い海を見ながら、
「今度もまた、更に簡単に糸をぶった切られた。伝わりっこない」
と思っている自分に、死んでしまったはずの人が苛々しながら、
「全力で呼べよ!!」と怒鳴る。

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by meo-flowerless | 2013-12-23 11:45 |

仮眠景16・アネモネトーン

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冬日の当たる赤いカーペットの部屋で、女の子が絵を描いている。
水性マジックの先からクキクキと音をさせている。
様々な赤、紫、ピンク系統だけの、サイケデリックな色調を駆使している。
よく見ると膝元にある水性マジックセットの商品ラベルに「アネモネトーン」と書いてある。
なるほど、アネモネの花色だから赤や紫ばかりなのだ。と納得する。



むかし父が、
「同じ色合いばかりで絵を描くのは狂った人のすることだからやめなさい」
と言った台詞はまだ心に残っているが、結局そういう意識を越えて絵描きになった自分がいる。
自分なのか自分の娘なのか定かではないこの幼児には、赤ばかりで描くのをやめろとは言わない。
傍では紅色のポータブルプレイヤーの上で、赤い透明のソノシートレコードが子供音楽を奏でている。



.....

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by meo-flowerless | 2013-12-22 10:35 |

仮眠景15・蓮の毒

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台所にはいつものように銀色の夜明けの光が差し込んでいる。
様子が何かいつもと違う。
竦む足で恐る恐る近づくと、冷蔵庫の横に、美しい顔の若い女二人が寄り添うように腰掛けたままぐったりしている。
最近ずっと見かけなかったけれど、こんなところに居たのか。
生きているのか死んでいるのかはわからなかった。
脈を取って確かめようとしたが、彼女達のまわりに散乱しているものを見て、瞬間的に彼女達の身体に触れるのを躊躇した。


「毒薬を作っていたな」
例の疑惑事件に関して話題になっている、あの毒薬に違いない。
乳鉢の中、そして彼女達の指先には白い粉が付着している。
私の部屋から持ち出した雑誌の一頁一頁に、それを慎重に溶いて塗り付ける作業をしていたようだ。


きわめて美しい娘達で、能力も優れていた。
が、何に対しても刺のように反発することを、自負しすぎているようなところがあった。
私のことも大嫌いなようで、全く気を許さず、こちらが挨拶しても目をそらした。まさか殺意を持っているとまでは思わなかった。
冷ややかに二人を放置して、見下ろした。
この部屋の至る所に毒が付着しているに違いないと気づき、執拗に石鹸で手を洗った。

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by meo-flowerless | 2013-12-18 02:02 |

仮眠景14・竜宮使

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大学の校舎の長い長い廊下の、光がいつもより奥深い。美しい。
何かの影が繊細なまだら模様を作っていて、それが光の階調を複雑にさせている。
廊下の奥には真昼の水が反射している。
水は無いけれど自分は廊下の上部をゆっくりと自由に泳いでいる。
私自身もかなり長大だ。
白い巨大ウナギかリュウグウノツカイのような身体をしている。

……


青い人魚の下半身がポールに掲げられ、旗にされて、曇天を背にはためいている。
残念ながら熱帯魚系ではなく鯖系だったのでこうなったのだと理解する。
場所は再び、国連前のような気がする。

......

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by meo-flowerless | 2013-12-17 15:03 |

日記

心の逃げ場も身体の逃げ場も、いくらもあるけれど、意識の逃げ場がいま全く無い。
誰からも遠いところで、たった一人で自分に刑罰を科したい。
誰も知らないとこで自分を半殺しにしてから、誰にも知られないように自分をそっと助けたい。

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by meo-flowerless | 2013-12-15 02:26 | 日記

仮眠景13・玉虫会館

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宵の河川敷に座っている。左手の鉄橋を光る電車が渡ってゆく。
多摩川河口付近なのにも関わらず、川沿いには川床の料理屋が建ち並ぶ。
暗がりの中よく目を凝らすと、料理屋のよしずや襖は、全く薄汚いブルーシートやベニヤ板だ。
それが奇妙に涼しげで心地よくもある。
遠いのに料理屋の人々の声は、河原の石の一つ一つに反響し、近くで啼く河鹿の声みたいに耳元に聴こえてくる。
内容は聴こえないがその音とも声とも付かないものを、むしょうに愛おしく感じる。



自分の目の中でゆらゆら揺れる赤いものがある。目を凝らすと次第に遠距離で結像する。
『玉虫会館』と書いてある遠くのネオンだ。
あの文字のとこだけそのまま指輪にして、指にはめたら綺麗だろう、と思う。


....

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by meo-flowerless | 2013-12-13 05:14 |