画家 齋藤芽生の日記 Twitter/ @meosaito


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仮眠景18・竹割山水

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メスシリンダーぐらい背の高いタンブラーグラスに、炭酸で割った鶯色の飲物が注がれている。
透明な泡、緑に深まる水、岩のように液体をせき止めているライムまで、液体を眺めていると、日本の渓谷景をくまなく見つめる眼の旅のようだ。
竹割山水です、と言いながら寺院の女性が、狭い竹林の卓上にそれを差し出している。


……


金色の海を見ながら、赤と黒の美しいオス鳥が横顔のまま、
「波打ち際が綺麗なんだ。わかるかい?」
と言って、クッと正面を向く。
頭はカンムリヅルなのだが身体はどう見ても鹿なので不格好であり、オスの語る愛に集中出来ない。

……

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by meo-flowerless | 2013-12-26 05:54 |

仮眠景17・アンナマリア・ブラッドリー

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アンナマリア・ブラッドリーという名の洋風こけしが、高々と胸を張って、バイオリンを弾いている。


......


ローザンヌ・バレエコンクールをテレビで見ている。
相変わらず辛辣な女解説者が、一人一人の出場者の衣装について細かくこき下ろす。
が、自分には、一つ一つが、全部違う色の鳥のような、精巧な細工に見える。
それらが一センチ大に小さくなり、すべて違う色の指輪になって、十本の両手の指に踊っている。


......



赤い海を見ながら、
「今度もまた、更に簡単に糸をぶった切られた。伝わりっこない」
と思っている自分に、死んでしまったはずの人が苛々しながら、
「全力で呼べよ!!」と怒鳴る。

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by meo-flowerless | 2013-12-23 11:45 |

仮眠景16・アネモネトーン

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冬日の当たる赤いカーペットの部屋で、女の子が絵を描いている。
水性マジックの先からクキクキと音をさせている。
様々な赤、紫、ピンク系統だけの、サイケデリックな色調を駆使している。
よく見ると膝元にある水性マジックセットの商品ラベルに「アネモネトーン」と書いてある。
なるほど、アネモネの花色だから赤や紫ばかりなのだ。と納得する。



むかし父が、
「同じ色合いばかりで絵を描くのは狂った人のすることだからやめなさい」
と言った台詞はまだ心に残っているが、結局そういう意識を越えて絵描きになった自分がいる。
自分なのか自分の娘なのか定かではないこの幼児には、赤ばかりで描くのをやめろとは言わない。
傍では紅色のポータブルプレイヤーの上で、赤い透明のソノシートレコードが子供音楽を奏でている。



.....

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by meo-flowerless | 2013-12-22 10:35 |

仮眠景15・蓮の毒

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台所にはいつものように銀色の夜明けの光が差し込んでいる。
様子が何かいつもと違う。
竦む足で恐る恐る近づくと、冷蔵庫の横に、美しい顔の若い女二人が寄り添うように腰掛けたままぐったりしている。
最近ずっと見かけなかったけれど、こんなところに居たのか。
生きているのか死んでいるのかはわからなかった。
脈を取って確かめようとしたが、彼女達のまわりに散乱しているものを見て、瞬間的に彼女達の身体に触れるのを躊躇した。


「毒薬を作っていたな」
例の疑惑事件に関して話題になっている、あの毒薬に違いない。
乳鉢の中、そして彼女達の指先には白い粉が付着している。
私の部屋から持ち出した雑誌の一頁一頁に、それを慎重に溶いて塗り付ける作業をしていたようだ。


きわめて美しい娘達で、能力も優れていた。
が、何に対しても刺のように反発することを、自負しすぎているようなところがあった。
私のことも大嫌いなようで、全く気を許さず、こちらが挨拶しても目をそらした。まさか殺意を持っているとまでは思わなかった。
冷ややかに二人を放置して、見下ろした。
この部屋の至る所に毒が付着しているに違いないと気づき、執拗に石鹸で手を洗った。

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by meo-flowerless | 2013-12-18 02:02 |

仮眠景14・竜宮使

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大学の校舎の長い長い廊下の、光がいつもより奥深い。美しい。
何かの影が繊細なまだら模様を作っていて、それが光の階調を複雑にさせている。
廊下の奥には真昼の水が反射している。
水は無いけれど自分は廊下の上部をゆっくりと自由に泳いでいる。
私自身もかなり長大だ。
白い巨大ウナギかリュウグウノツカイのような身体をしている。

……


青い人魚の下半身がポールに掲げられ、旗にされて、曇天を背にはためいている。
残念ながら熱帯魚系ではなく鯖系だったのでこうなったのだと理解する。
場所は再び、国連前のような気がする。

......

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by meo-flowerless | 2013-12-17 15:03 |

仮眠景13・玉虫会館

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宵の河川敷に座っている。左手の鉄橋を光る電車が渡ってゆく。
多摩川河口付近なのにも関わらず、川沿いには川床の料理屋が建ち並ぶ。
暗がりの中よく目を凝らすと、料理屋のよしずや襖は、全く薄汚いブルーシートやベニヤ板だ。
それが奇妙に涼しげで心地よくもある。
遠いのに料理屋の人々の声は、河原の石の一つ一つに反響し、近くで啼く河鹿の声みたいに耳元に聴こえてくる。
内容は聴こえないがその音とも声とも付かないものを、むしょうに愛おしく感じる。



自分の目の中でゆらゆら揺れる赤いものがある。目を凝らすと次第に遠距離で結像する。
『玉虫会館』と書いてある遠くのネオンだ。
あの文字のとこだけそのまま指輪にして、指にはめたら綺麗だろう、と思う。


....

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by meo-flowerless | 2013-12-13 05:14 |

香星群アルデヒド

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ウェブでの短編小説連載『香星群アルデヒド』は、一月明けて開始します。
隔週連載になると思います。URLは追って告知します。
毎回、モノクロームの『香星群』の挿画とともにお送りするものです。
『香星群』はここ一年断続的に、雑誌「新潮」の中表紙絵に寄せている絵と同じ仕様のシリーズです。


最近ここに書き溜めている夢日記の「仮眠景」とはもちろん、趣が違うものになります。
夢日記はいい加減に妄想の断片を力技で繋ぎ合わせて作りますが、短編小説は最初に大方の設定と筋があらかじめ決められてから、詰めていきます。
小説は堅くなってしまって難しいですが。


穴のような窓の向こうは、団地の室内ではなく、今度は宇宙です。
宇宙に放り出され、絶対に縮まることのない他者同士の「不可侵の距離」を思い知る。そんなところが主題です。
by meo-flowerless | 2013-12-09 15:00 | 告知

仮眠景12・受胎告知

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写生遠足なのに、課題『受胎告知』と知らされる。
青空を見ても、枯木の梢を見ても、聖母などいるはずもない。
ひよどりみたいな、むくどりみたいなのが、ただビイと鳴いている。

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by meo-flowerless | 2013-12-09 00:17 |

仮眠景11・ゴッホ家の継娘

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希望としては、源氏物語の「明石の上」になって明石入道の家にホームステイしたかったのだが。
予定は変わって、ゴッホ家にステイすることになっている。
「大丈夫か....あそこん家は寒そうだけど...」




ヴィンセント氏は後世に伝わるイメージ通り、人間的に不器用そうな無口な男ではある。
が、一番驚いたのは、彼に妻がいたことだ。
彼自身、画家と言うよりは極貧の農夫であり、妻も灰色の農婦である。



「今日からは君を娘と思うよ」
と、瞬きもせずにヴィンセントは言った。
「しかし今日は村の祭りなんだ。初日から悪いが、家の番をしておいてくれ」

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by meo-flowerless | 2013-12-03 06:10 |

仮眠景10・ 宝石 (短編集)

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生ぬるい風が吹き荒れる曇天だ。
スイスのベルンに似ている。
高いところに黒緑の森があり、遥か低いところに湖のような川がある。
黒い森に抱かれるように、カラフルな6階建ての住宅が数軒、まとまっている。
色鮮やかな屋根と壁を持ち、ルビー色やネープルスイエロー、インディゴなどの、欧州的な色が美しい。
なんと言っても住宅の形が普通と違い、宝石のように多面体にカットしてあるのだ。
オヴァルカット、マルキーズカット、ブリアントカット。
宝石が不安げに肩を寄せ合っているような姿が、静かに湖面に映っていた。


・・・


藤色のような水色のような物凄く大粒の宝石が、「校庭なぎさ」におちている。
アクアマリンだ!と興奮して、しゃがんで見つめる。
自分の好きな色は赤などではなく、本当はこういう薄い水色だったかもしれない、と魅了されている。
ざっと足下を洗いゆく波は、海の波ではなく、校舎の掃除の排水だと思うと、少し腹が立つ。

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by meo-flowerless | 2013-12-01 20:33 |