画家 齋藤芽生の日記 Twitter/ @meosaito


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リトグラフと小説

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リトグラフをやってますです。はい。
机の上がわりと整頓されているのは、大学の版画実習室の片隅を借りてるからだ。


昨年から来年にかけ、断続的に『新潮』の挿画を担当させて頂いている。
この挿画のシリーズはペン画白黒の「団地の窓」なのだが、結構自分でも気に入った。
で、このシリーズをリトグラフでやろうという話になったのだった。


私の描く「団地の窓枠」というモチーフは、自分にとってコンセプトとかテーマと言った類いのものではなく、もはや身体感覚である。呼吸が出入りする唇のようなものだ。



加えてまだ未決定ではあるが、このブログとは別のweb上の文章連載の話が進んでいる。
話が進んでいるというより、自分自身で話をペンディングしたまま月日が経ち、関係者に大変申し訳ない状態であるので、いよいよちゃんと始動する決意をしたのである。この九月秋。
リトグラフの白黒シリーズとこの文章連載を絡めて何か出来ないか、と思案した。

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by meo-flowerless | 2013-09-26 23:08 | 絵と言葉

日記

「広く共有し浅く交流する」
という一見楽しげな、でも私にとっては拷問以外の何ものでもない風潮に、
もう命がけで反発していこう、と思う。

精度も命中率も低いような関係は要らない。
五感使ってじっさいの空気を感じあって初めて、なんらかの関係になるんだと思いたい。
本当の関係の中では、延々と自己紹介と自家中毒を繰り返す必要も無い。

素顔、素手、肉声、肉眼。
それらにくっついてくる目に見えない襞のようなもの、が恋しい。
by meo-flowerless | 2013-09-20 12:53 | 日記

仮眠景2・スケジュール表

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画家は身体を使って画布と格闘するようなタイプのひとで、近隣のアトリエを使っていると、壁を打ったり何かを引き裂いたりするような激しい音が夜中に聞こえてきたりすることもある。
暗い廊下に珍しく明かりが漏れていて、その画家の仕事場が垣間見える。
今日はその画家が格闘しているのは、絵画ではなく「スケジュール表」らしい。

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by meo-flowerless | 2013-09-20 10:18 |

仮眠景1・サルスベリ

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海の町に一人で来ている。
海水浴客の多い、俗っぽい海の土地だ。
人々と落ち合う約束のようだが、人々というのが家族なのか友人なのか曖昧だ。


昼間の雲は水蒸気爆発のようだった。
薄青の立体感のあるもくもくとした厚い雲で、底のほうにだけ紫の暗い筋雲が、何千条も地面に垂れ下がっていた。不気味だった。


町の中央の複合ショッピングセンターといっても、あるのはマクドナルドとサーティーワンアイスクリームである。
そこに何故か、郷土図書館が併設されている。
郷土図書館で何か調べものをしにきたような気がするが、思い出せない。
その施設はユースホステルのような簡易な宿泊施設でもある。寮特有のリノリウム臭がする。
とりあえず一部屋を取り、鍵をかけて散策に出ることにする。

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by meo-flowerless | 2013-09-19 06:23 |

ここは静かな最前線

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夜明けウミツバメ飛び啼く 朝焼けの街角に木の葉風に舞う
真珠色した血反吐の荒野に 俺は小さな炎を放つ 
燃やせよ夜明けよ 燃やせよ街の夜明けよ
炎よここは炎よここは 俺たちの戦場
炎よここは炎よここは 静かな最前線


一年。秋。十月。そして金曜日。
革命の年は輝かしく刻印されても、衝突のその一日は血とともに記憶される。
彼らのコードネームは、時の巡りの大きさの順に階層化されている。
指令者の独りの女「秋」は、配下の精鋭部隊の長である青年「十月」をコントロールしようとする。
そのまた配下の兵隊たち「金曜日」や「月曜日」は、誰からも存在を切り離された狂気のテロリストとなって、自らの身を爆弾にして散っていく。


どこの軍事国家の話と思いきや、東京は新宿。時は1972年。若松孝二の映画『天使の恍惚』の登場人物の話だ。

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by meo-flowerless | 2013-09-15 00:38 |

カーステレオの菩薩

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俺の女、西城慶子。誰にも言えない俺だけの秘密。無人島に連れて行く最後の唯一の女。
.......西城慶子を聴くと、私は私ではなく「俺」になる。
女の中にはあるはずのない男の煩悩を、掻き立てられる。


亡くなった著名な冒険家は氷上の極限の孤絶のなか、高橋真梨子の「桃色吐息」を聴いて毎晩身悶えたという。
放浪の俳人は、山をさすらうトランス状態の中、道に落ちている空の香水瓶をふと見ただけで欲情が爆発したんだって。
西城慶子の歌もまた、本能の飢餓のための歌かもしれない。


彼女の歌は、一時期トラックの運転手の間で口コミで人気が高まった、と聞いたことがる。
カーステレオの中の菩薩として、孤独の夜の女神として。
その逸話は彼女に似合う。

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by meo-flowerless | 2013-09-05 01:37 |

イロハ、flora、西日

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色の無い日常に思わぬ火花を放り込まれるような。
通りすがりのひとの言葉に、忘れがたい鮮やかさを感じることがある。

小豆島離島の日。夏が一気に終いになる、寂しい眠気の中にいた。
岡山港へ向かう船だった。
不意に、私の座席の周りを走り回っていた少年が澄んだ声で、
「イロハ!」
と叫んだ。


何だろうと振り向くと、それは実は、小さな妹の名前らしかった。
「イロハ、こい」
来い、が恋と聞こえる。
いろはにほへとか。日本語の盲点のような、変わった名だ。
兄は幼いくせに大人びた関西弁でイロハにいろいろ言って聞かす。
奇妙に時代錯誤の教科書のような極彩色を感じて、美しいと思った。
何が美しいかわからないが、青い場面に赤い矢がすっと通ったようで、晴れやかな気になった。

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by meo-flowerless | 2013-09-01 10:55 | 絵と言葉