画家 齋藤芽生の日記 Twitter/ @meosaito


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広告写真の花嫁人形

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絵の材料のために、大量の写真を撮る。
旅先で必ず、「着付け&パーマ店」の看板やポスターにある花嫁衣装の女の子、の写真像をカメラに収める癖がある。
これは、結婚願望とは全く違う場所、別の時空から来る、感覚的な衝動だ。


女の花嫁姿は美しい。とくに生で見ると、いつも感動してしまう。
けれど、広告写真中の花嫁の醸し出している空気はちっとなんか違う。



角隠しで顔半分隠した顔というものは、そもそもその人間の個性や感情を消すから美しく見える。
その人格性の儚さにまた、透明な距離感のレイヤーをかけ、
青く経年劣化の焼けをかけて更に遠ざけ、アクリルガラスに閉じ込めてパッケージングされた、紙一枚の薄さの花嫁。
広告写真の花嫁の美しさは、どの娘もどの娘も運命の水に乗ってどこかへ流れて行きそうな、命の感じの弱々しさにあるんだろう。

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by meo-flowerless | 2011-08-26 02:30 | 絵と言葉

無為無策旅行・下津井

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児島の町の商店街を離れて入る小路は「風の道」。

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by meo-flowerless | 2011-08-23 23:07 |

無為無策旅行・児島

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正午を回り、太陽はいよいよ激しく照りつける。岡山から児島へ。本州と四国との境界の町である。
乗り込んだマリンライナーには沢山の高校生や主婦が、坂出や高松など四国の町々へ帰るために乗り込んでいる。
自分にとっては遠い遠い、眩しい憧れの四国だったが、いとも簡単に、まるで毎日の通勤のようにそこへ向う電車に黙々と立って揺られている、違和感。



しかし海は渡らない。
岡山側の極地、児島駅からはレンタサイクルを借りる。

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by meo-flowerless | 2011-08-23 01:38 |

無為無策旅行・玉島

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玉島、たましま、という地名がよいと思った。玉という字が好きだ。
手の中で慈しみすぎて少し脂が乗ってしまったのが、玉(ぎょく)。
宝石では、鋭く光りすぎて駄目である。
同じキズでも、人肌裂くのは傷であり、玉に付くのは瑕である。
そんなこんなで、正午前には、神々しい金光町の真夏の光から出て、瑕だらけの玉島の町に居る。



新倉敷駅から海へ向ってバスに揺られること10分ほどの、干拓地の古い港町だ。
バスを降りた途端くらくらと目眩がしたので、相棒だけ町に解き放ち、自分はスーパーのベンチでしばし休む。
今思えばこのときからもう身体が「無理だ」と喘いでいたのかもしれない。
しかしこの陽炎の先にある、まだ見ぬ素敵な裏通りを見ずして、自分だけ引き返すわけにはいかない....
と、意地を張るのが、いつもいけないんだろうがね。


「ホカロン」の弟「ヒヤロン」は、パーンと叩くと薬品が中ではじけて、瞬間的にまるで氷のような冷たさになる代物だ。
これは緊急用に取っおいて、しばらくは飲料水と「冷えピタ」で暑さ凌ぎ。
体温上昇中の怠い身体を起こし、まだ見ぬ海辺の廃れ商店街のほうへ、わが相棒を捜しにいく。
中途半端な細さの道、中途半端な坂の上下、中途半端に斜めな曲角を進んだ先に「銀座商店街」があった。

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by meo-flowerless | 2011-08-20 23:05 |

無為無策旅行・金光

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暑い。朝から油蝉の声にこっちの体液もジットリ搾り取られてゆくようだ。
『女殺油地獄』なんてのを思い出す。身の毛もよだつ怪談なのに、灼熱の題名。


柳の影も清かな倉敷から足を伸ばし、山陽本線の小さな駅で下車する旅だ。
漆黒と見紛うくらいの青空。影と同じくらいの重さの光。輪郭のすべてを際立たせて背景に張り付く夏木立。
この世の毒素も今日はぐったりと地表に沈殿している。
空気は透明な上澄み液。けれど温度は殺人的に熱い。湯水のなか無言で溺れながら、人気の全くない駅に降り立つ。


金光。
その名の通り、新興民間宗教の金光(こんこう)教の本部があり、その信徒たちの暮らす、静謐な町だ。
本当ならば、私らのような信心薄い無関係者には全く思いもつかない土地であり、訪れる用事などあろうはずもない集落だ。
駅を降りても暫く何の変哲も無い田舎の町が静まり返っているだけだったが、跨線橋をとぼとぼと渡り、小さな坂の影を曲がると、金光教の花の紋章が中央に浮かぶ、古びたアーチが現れた。


ここかららしい。小さな砂時計の中の宇宙。
美しく時空の狂った、こころやさしき袋小路は。

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by meo-flowerless | 2011-08-19 14:08 |

無為無策旅行・倉敷

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美しさで名高い大原美術館に、わが作品『密愛村』が収蔵された !
で、この夏、それが現地で展示されているとの連絡を頂いたのである。
初めて倉敷の地を踏み、我が作品に再会しにいく。それがこの旅の大きな目的。
この旅じたいが決して「無為無策旅行」のつもりではないので、撮影させていただいた大事な作品展示写真は、改めて別の機会に載せようと思う。


だが。
それ以外の旅程と言えば、かつてないほど無謀だった。
我ながら反省する。
暑い朝っぱらから倉敷の中心街をを出て、近辺の町を取材している途中。
瀬戸内海を望む岡山県の果てでとうとう、やっちまった。
この地出身の内田百閒大先生が「ひだる病」とも書いた「炎天下の例のアレ=熱中症」になりかかったのだ。一漕ぎも貸自転車を走らせられなくなった。
ああ....美しく青く残酷な鷲羽山。二度とは忘れ得ぬ、土地の人の恩よ。


さて、それは脇へ措いて。
まだ元気で活動していた、倉敷入りした初日のことである。
蝉の鳴きっぷりが悪くいまいち真夏と思えぬ東京をあとにして、西日本にやってきた。

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by meo-flowerless | 2011-08-17 04:11 |

無為無策旅行・月江寺

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月江寺という駅名を聞いたことは無かった。
江戸時代、「富士講」の旅人たちで賑わったこの町。いまでは小さな駅なのだろう。
静まり返った富士吉田のシャッター通り商店街と垂直に交差する細い商店街路は、さらに静かな夢の水底にある。それがずっと「月江寺」駅に続いているらしかった。



商店街入口の、観光という感じでも特にないなにかの案内所には、昔のこの界隈の写真が飾られている。
薬玉に彩られ、行き交う人々も洋装和装入り交じった昭和三十年代頃の、賑やかな通り。
「くろんぼ」と書かれた看板建築の店が見える。またエラく直球な命名だと思ったが、かつては米軍相手の歓楽街だったこともあるらしいのだ、この土地は。


そのせいか、こっくりと脂っこいような色香が、人影ない寂れた通りにも纏わりついている。
上の写真、「くろんぼ」の通りの現在地のようだ。
今は歓楽街の面影も無いが、三原色に赤い星のくっついた看板灯のある街角から、ふっとフレアースカートの肉感的な女性が現れた。
黒い雌豹の前を横切ろうとする、黒猫...
という風情の、原色の一瞬。

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by meo-flowerless | 2011-08-08 04:40 |

無為無策旅行・石和温泉

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サルスベリの花のやつれた桃色が似合う場所なのだった。
そのぬめぬめした引っかかりの無い幹と、いきなり咲き乱れる血潮吹いたような紅さが、この歓楽地の渇いた性感にしっくりとくる。


石和温泉というところが、いわゆる情緒たっぷりな湯の町風情あふれる場所とは違うと漠然と知っていたのは、滝田ゆうの漫画のせいか。
タクシーの運転手の連れゆくままに走る道すがら、雨の猫を拾うように、女の子の`夜の時間`を買う男。
ショボショボとこちらの眼をこれでもかと屡叩かせる細い線で描かれた、いかにも1969!って感じの長い髪。
身の上、訳あり、金借り、束の間.........
他人の事情という幾千もの雨の束の向こうに、見えそうで見えない「湯の町構造」。

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by meo-flowerless | 2011-08-06 01:29 |

無為無策旅行・鰍沢

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綿密に予定を立てる旅よりも当てずっぽうに歩くのが好き、というのがまず、本当はいけないんだろう。
特にこんな炎暑の下突然に思い立って、嘘か本当か解らない曖昧な噂に吸い寄せられたり、所在不明の店を探したりするのは危険なのである。


......と解ってはいるけれど、前夜ネットでたまたま見つけた謎の古道具屋の古い店長ブログをたよりに、一時間一本二本しかない、山梨から富士山へ抜けるローカル電車身延線にトコトコ揺られている。

心の底から休める、久しぶりの日。正真正銘の、無為の「夏休みの日」。

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by meo-flowerless | 2011-08-05 02:14 |