画家 齋藤芽生の日記 Twitter/ @meosaito


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2016年9月の日記

2016年9月の日記



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二つ目完成。ストリップ小屋。女の胸に灯がつく。

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9月2日

芸大の藝祭始まる。年々人出が増えている気がする。芸大名物の神輿、いつもトホホ枠の油画科だが、今年は珍しく複雑に造形していた。私の時はほぼ全容が球体の頭部の神輿で、持ち上げた途端に転がり落ちた記憶がある。
研究室では学生たちが模擬店。ベーコン・ソーセージ「まゆげ」とスナック「まつげ」。
校門すぐのところで席数も多く繁盛している。店長が数々の調理場経験がある学生なので、流石に美味く、きりもりもうまい。
研究室の一人の女の子がタロットコーナーを開いている。これも順番待ちだった。自分も占ってもらった。なんというか、この中年女の倦怠した日常をそのまんま言い当てられた気がして、纏めると「もう少しは痩せて、もう少しは学生にも威圧感与えぬよう心開き、もう少しは技法材料の勉強をしなくてはならない」という厳しいお告げをもらった。
技材部屋が学生たちの楽屋のようになっている。燃え尽き疲れた顔も含め、そういう青春の舞台裏をはたから見ているのは、祭のさなかで騒ぎ飲むより、自分には楽しい。


9月4日

制作しようと大学に行っても、華々しく繰り広げられる藝祭で、集中力などない。結局、お店を出店している研究室の学生にドレスを着せメイクしたり、自分も一応着飾り、学生の立ち働くそばに座って皆を見ていた三日間だった。
私の手のなかでほんの一刷毛の化粧ではっとするほど美しくなる学生や助手を見て、ああ、若いのだな、と感じた。かつて沢山集めたありとあらゆる繊細な色のアイシャドウやチークを棚に封印していたのを、学生のメイクアップのために引っ張り出し、久しぶりに眺めた。こんなものを集め、せっせと女の顔を作っていた頃もあった。コンビニの化粧水と口紅だけで済ますようになった最近の自分の顔のそこかしこが、痛々しく傷ついているようにも感じるし、その代わり険しい眉間のしわがあまりなくなって大らかそうになったとも思え、複雑だ。

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藝祭の前日は、異動前に担当していた研究室の卒業生、元助手と歌いに行った。このメンバーは私にとって何かが特別だ。技材の大きなファミリー感や熱気と真逆の、徹底的にそれぞれが静かな個を主張するような研究室だったし、歌もそう。私が本当に好きなマニアックめの曲を渾身で歌っても許されるのは、このメンバーの前だけだろうといつも思う。
このメンバーのなかの、自分のみた学生史上もっとも長く話し、手もかかった女の子の結婚報告があり、ささやかに祝杯をあげた。にもかかわらず、カラオケでは皆、新婚の当人ですら、いつものようにヘビーな暗いどん底歌謡を歌いまくった。



9月5日

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留学生エンエンが本格・中国南部料理を作ってくれ、皆で藝祭打ち上げ。学生たちは結構な売り上げに顔が輝いていた。助手が、藝祭中に撮った皆の写真を写真集のようにしてくれた。


9月8日

真夜中の大学、きょうは人の気配もない。外の販売機に出たら、暗闇の大学じゅうハミガキ粉の匂いがする気がする。雨上がりに何かの樹木の匂いが立ち込めているのだ。楠か?
二度目に出たら今度はイチゴ歯磨きの匂いがした。気のせいだとは思う。学校ぐるみで合宿の夜を迎えてるような風呂上がり感。


9月9日
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卓球場。大子町合宿へ出発前に一つ仕上げた。

9月20日
茨城県北芸術祭、10日間の大子町でのプロジェクトから帰ってきた。ハードな割りには体力を保ち、常に元気に動いていられたが、帰ってきた翌日の今日は泥のように眠った。
タイのアムナット先生たちは25日まで東京観光してから帰るという。生憎の台風で遊びまわるのも大変だろう。東京だからテンション上がって、雨なんか気にもならないか。
アムナットは今回、「特別日本のカルチャーに興味ある子を今回は選んだ」と言っている。タイの5人は、なにも見ずにサラサラと日本のアニメキャラクターを次々落書きして、盛り上がっていた。あと「ガチャポン」がとても好きで、あらゆる場所でガチャガチャしていた。今日は秋葉原だっただろう。

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夫が隣室でRCサクセションの「甲州街道はもう秋なのさ」を聴いている。最近そればかり聴いていたという。近所の甲州街道のイチョウ並木は早くも無残に銀杏が落ちて潰れている。もう金木犀のつぼみの匂いもする。自分にとってはこれがまさに、私の東京。多摩・武蔵野の気だるい秋。帰ってきた、という感じがする。


9月21日

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千村さんが銀ちゃんのバースデーケーキを作った。顔の部分は、大子町で皆が朝に食べていたグラノーラの残りの粒を種類別に選り分けてはめ込んだらしい。


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四種の肉に四種のダシに三種のタレのしゃぶしゃぶで自分自身ムッチャ混乱していながら、出来ない英語でタイの人に内容を説明していて(聞いてもいない)so busy & confused.タイの皆の東京ストーリーを聞きながら、たらふく食べた。
今回はこれでお別れ。でも彼らにはまた何処かで会う気がしてならない。特にアムナットは歳も近いので、今後学生ぐるみで長くお付き合いしてもらいたい。素晴らしい仕事、人柄、楽しい日々に心から感謝した。


9月22日
大原美術館・有隣荘での個展準備のために倉敷へ。新幹線と列車に揺られ四時間、疲れたのか、最後はいつもの置き忘れをやらかしそうになる。倉敷駅のホームを十歩行った所で閃光のように気づき、バッと乗っていた電車に逆戻りする。作品に使う母手製のドレス、今んとこ命より大事かもしれないやつを忘れそうになったんで、流石に身体の本能が気付いたんだろう。危ない危ない。回収して、新倉敷で折り返した。

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ビジネスホテルだが、夜に無料で定食が食べられる。簡易な食堂で一人メシ、アジフライ。こういうのは幸福。


9月23日

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大原美術館有隣荘もきょうは雨のなかに薄暗く沈む。業者さんが忙しく搬入作業、【密愛村】のシリーズⅠ、Ⅲ、Ⅳが一同に会する。絵は全部で12枚。これぐらいの枚数は纏めて見せる機会がほしかったので嬉しい。

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詩を刺繍したドレス。
自分で壁を立て込んだ訳ではないのにドット疲れた。古い御屋敷に気を吸い取られて動けん。

9月25日
夢がある。もう一つ日本が欲しい。ただし誰一人、知人のいない日本。知っている土地やニュースもない日本。いつでも未踏の地に迷い込んだ気にさせてくれる日本。海外の国はたいていそんな感覚に陥るからいいが、日本でそういう気になるのは最早難しい。どう動いても自分の知った場所や人に出くわしそうだ。記憶喪失になるしかないのか?けど、記憶喪失は悲し過ぎる。
そう言えば、つげ義春のまんがはそういう未踏の地の感覚に満ちている。

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倉敷のビジネスホテルの暗い灯の下で設計図をひいた三点、帰って二日で組み立て、着色。あと屋根だけ。最速なんだが、もっと数が欲しい。


9月27日
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この「紙の家」の一番最初の試作が、夏に作った哀れなコレ。
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比べるとだいぶ自分らしいものになってきたし、とにかく頭も手もフルに使うから楽しい。
このオモチャがアートかどうかなんてどーでもいい。数を作り始めたらとにかく私は止まらない。

こういう工作でいつも便利だと思うのは、造花(アートフラワー)の茎に巻く、弱粘着テープだ。ラケットのグリップに巻くのと似ているがもっと繊細。あれはスグレモノだ。


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そして今回活躍したのが、いつか何かに使えると思って集めていた「江戸小紋の染型紙」。一枚500〜2000円くらいで、骨董市などで買い集めていた。千代紙ではなくコレ切絵だから物凄い。柿渋を塗った和紙、裏には細い繊維で網がかけられている。ステンシル型の精巧版といったところ。これと、舞台照明用色フィルター見本帳、模型用のハンダ付け不要LED照明チップを多用し、窓の透かし模様や色ガラスや色照明に使った。


10月1日

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日暮し、海鳴り。
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午前中は【紙の密愛村】の繊細な梱包作業に苦しむ。そして紙ドライブインたちは倉敷へ。
宅配便で送るのがいけないんだけど、取扱注意や天地のシールをデカデカ貼ったダンボールを、コンビニのレジ係が無造作に目の前で横向けにひっくり返して置いたので、悲鳴をあげた。

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本日から上野・瞻百堂(せんびゃくどう)画廊で「物質としての絵画」展。芸大油画技材研と愛知県芸白河研究室の合同展。小品展だがそれぞれの素材感の違いがわかる。技材の日頃の実習や研究の展示も。
私は【野火賊/暗号韻】を出品。10/1〜10/7。
今パーティの最中。私は若干、半死ぎみで申し訳ない。


また10/8〜10/23「芸大×EXPO」展では、谷中ギャラリーマルヒにて【四畳半みくじ】を出品。それは今からやるんだな〜。
今回展示が重なり全てがギリギリで、仕事も別にあり、これ程の疲れは自分の卒制以来か。疲労で発熱してるみたいでキツい。


10月2日
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四畳半、インモラル。
谷中マルヒ「芸大×EXPO」展に置こうかなと考えている。
とりあえずこれを一区切りにして倉敷に発つ準備をしなければ。
by meo-flowerless | 2016-09-08 01:34 | 日記