画家 齋藤芽生の日記 Twitter/ @meosaito


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2016年4月の日記

2016年4月の日記



4月3日

「百鬼園日記帖」を通勤のお供にしようと思う。
幾ら文学者の文章とは言え日記は熟読するというものではない。最後の方は「忘」「無為」「あつし」など一言だけの日が多かったりする。
どういう読み方を、しようか。熟読して感心するなどというより、とにかく拾い読みくらいしかしなくとも「一緒に時空を持ち歩く」ことが、日記への礼儀なのかもしれない。
「パラレルワールドを携行する」ということは、修士論文でも、博士論文でもテーマだった。あのときは、感覚的なこじつけかな、くらいに思っていたが、大人になるにつれ、そういうふうに違う時空を持ち歩くことの意味を噛み締めている。

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斑入りの花がまるで宇宙だった。
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4月4日

電車内の小さなテレビジョンで「ネイルのこつ」みたいな映像を流しているが、ネイルを施しているほうの手の爪が、血が滲んだのを拭いたあとのようだった。
爪の淵に赤で輪郭線を入れるお洒落なんだろうけど、鯨ベーコン/亜硝酸Naの色としか思えなくてウェーと思った。



4月6日

ニワトリの足の部分だけが、襦袢のぼろみたいな派手な切れを巻いて、小諸懐古園の地面を歩いている夢。

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「余計なプロ意識の危険性」なんかを語れるのは、プロとして通用しその線引きを実感している人が考えて初めて意味があることなんであって、最初からアマチュアリズムを居心地がいいなどど思ってやっている人々の言うことではない。


4月9日

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神保町散策。泰川堂書店(古地図専門)で、現代商業美術全集・第七巻「実用看板意匠」と第八巻「電氣応用広告集」買う。アルス社、昭和五年。
線とトーンのクールさ、簡易な遠近法がこのみ。いい本だから集めたい。
ネオンのデザインを見ていて、ふとラジオ深夜便からの「シャレード」がそれに重なったら、何かのフラッシュバックで急に泣きたくなった。いつのことかもわからない夜のネオンに関してしばしば同じ感覚に襲われ、同じ記憶が元かと思われるが、その記憶に辿り着けない。しかし、総武線沿線のどこかの駅のネオンと思われる。

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4月12日

左足のかかとの切傷が、3日目にして痛んで歩くのがつらくなってきた。やばいな。
真夜中独りで包帯を巻いて、なにかとても満足した。

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助手二人に、大学近くの「箱義桐箱店」に連れて行ってもらった。
ひんやりした店内。白いシンプルな棚に、様々な形と大きさの桐製の箱が一つ一つ陳列してあり、美しい。
指輪一つが入るだけのもの、紙縒りが六本くらい入るだけのもの、グラスや食器を入れられるもの。ありとあらゆる贈物を想像させる、箱というスペックの存在感に魅せられる。
他に、薄玻璃のコップや、とてもいい音色の真鍮の風鈴など、欲しいものは沢山あった。
自分は桐箱の中にはいった「練り香」のセットを買った。練り香は線香と違い、直火でくゆらすのではないお香だ。焼けた炭を突っ込んで炉の灰を暖め、暖めた灰の上に丸薬のような練り香を乗せ、熱で匂いを発散させる。練り香は十四種、「色葉」「蓮華」「黒松」「菩提樹」など名前がついている。


4月17日

夢。新宿に、私が好きそうな、内装の凝りに凝った古いナイトクラブのようなものがあると聞いて、独りで入ってみた。
地下の大ホールは臙脂色の絨毯が敷き詰められている。中央のぼろい螺旋階段を、店のホステスたちが絵のように行き来している。古臭い黒電話、流行らない観葉植物、雑誌ミセスかなんかの付録の晴れ着カレンダー、玉のれん…そこらのスナックを間違えて巨大化したような変な店だ。しかも酒が飲める席のようなものがなく、名前を記名させられ、真ん中のソファで延々と診察室のように待たされている。
そのうち、ここがナイトクラブなどではなく「同伴個室風呂」というシステムの風俗だと気づく。どうりでおじさんしか客がいないわけだ。皆、私の順番を飛ばして、ホステスや待ち合わせの女と廊下の奥へ消えていく。店の女に「あの、私の順番まだでしょうか」と聞くと、失笑された。嘲笑はホールの女全体に広がった。「同伴のお客様がいらっしゃらない限りは永遠に呼ばれませんが」と吹き出している。女一人でなにかを待っている様子を、ずっと嗤って見ていたようだ。
腹が立って、風呂だけでも一人で入って帰る、というと個室に案内された。ドアは豪華でも、なかはトタン屋根の苔むした五右衛門風呂で、辟易して、入らないで店を出た。
風の吹き晒す新宿の街は午前一時。どこにいくかも決めないまま、タクシーを捕まえた。


4月19日

最近とても呼吸が浅いと感じる。何かにつけよくない。


4月21日

こう、仕事仕事で極限まで疲れているときに救いになる存在の人は、優しい人というのでもなく癒してくれる人でもなく、とにかく顔かたち姿が「なつかしい」感じの人だ。親しかろうが親しくなかろうがあまり関係はない。意地悪だったっていいくらいだ。


4月24日

母に大きな赤いダリアの鉢を買った。丈も花も大きく、花びらが捩じれまくっている。
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夢。空中をまた飛ぶことが出来ている。深いプールの底をトンと脚で蹴ると浮かび上がる、そんな感覚で空中をゆっくりと揺らめく。台湾かどこかのツアー旅行で他の人に気づかれないように浮かんでは寺院や霊廟の豪華な天井を触ったり、きれいなシャンデリアか瓔珞のようにぶら下がるものを両手で掴んで下を見下ろしている。こう書くといかにも夢じみているが、きみの悪いほどリアルな長い夢である。特にゆっくりと空中から下降するときのもどかしさや不安が。

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自分には兄がいるのではないかという昔からの妄想を、逆から照射するような小説を書いた。


4月29日

学校で制作、午前四時。無理してるし体がきっとどこか悪いし、胃薬の粉を口に入れて飲もうとしたらペットボトルに水が入っていないし、財布に28円しか入っていない。
腹がたって悲しい気持でいた時、夜空のどこかから「漁村のスピーカーから流れてくる役場の女性のアナウンス反響音」みたいなのが空耳で聞こえて、すっと気分が直った。旅がしたい。


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外は風が強く、樹木の影がアトリエの磨りガラスに、夜の映画のようにうごめく。
これを森の樹々になぞらえるか、海辺の防風林になぞらえるか。風を聞きながら眠りたい。


4月30日

愚痴をかなり書いていた。反省。
by meo-flowerless | 2016-04-03 15:47 | 日記