画家 齋藤芽生の日記 Twitter/ @meosaito


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ホーチミン日記8.18-2

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午後は、念願の「チョロン」地区へ。
チョロンとは地名ではなく、大きい市場街というような意味の地域で、屋根つき施設の大きな「ビンタイ市場を」中心とした、中華系問屋街の総称だ。
東京で言えば合羽橋やら蔵前やら浅草橋と、横浜中華街が合わさった感じ。
でもその熱気と言うか混沌の風景は、とてもとても日本人が自国で今の時代お目にかかれるようなものとは違う。


昨日は市の中心部の「ベンタイン市場」へ行ったが、これは観光客にも対応したスレっからしたところのある綺麗な市場だった。
けれどチョロンは、本当の中華系ベトナム庶民の生きる場としての問屋街だ。
タクシーが市中心部からはずれチョロンに近づくごとに、夢のなかで見たような捩じれた猥雑さを持つ混沌景が繰り広げられていく。
ありとあらゆる声の出し方のクラクションでお互いを牽制し注意をしあって、轢かれそうになっても何も気にせずバイクと車が進路を絡ませる。
日本人が住みついてもまずこの交通事情でストレスに陥るだろう。日本の硬質なスピード感覚、真直ぐな進路感覚で道を歩いたり走ったりすると、かえって危険だ。


バイクと同速度でゆく自転車のドラえもんガール。ドラえもんはベトナムで根強い人気キャラクター。

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ベトナムはフランスの植民地だったこともあり、建物のほとんどがコロニアルテイストで、ヨーロッパの優雅と南アジアの頽廃が折衷された美しい建築だ。
それが積木みたいに増築され色を塗り替えられ生活に汚れ、中国系特有のしたたかさで地に根を張り、見たことのないカラフルな昆虫の群生のありさまみたいな景色になっている。
戦後の日本も熱気に満ちた混沌はあったのだろうけれど、このヨーロッパと中国の影は、日本の風景にはないものだ。
あと、この絡まりあった毛束みたいな電線は、特徴的な風景だ。

ビンタイ市場、とにかく野菜やら穀物やらの腐敗臭と泥濘と清掃されないゴミのにおいのるつぼのなかにある。
写真で見るとカラフルだけれど、実際は暗い地下世界の迷路みたいだ。
人一人通れるか通れないかの通路を、怒鳴りながら裸の業者が掻き分けていく。
甲高く黄色いかんじの笑い声や怒号が飛び交う。サイケデリックな築地と言うか。


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回廊型の市場の周りも雑多な問屋街。
何軒もある祭祀用品屋の軒先にぶら下がっている、はかない紙製のドールハウスのようなもの。
鮮やかさにひかれて物色すると、紙製の家だけではなく、紙で出来たドレスやスーツ、紙で出来た携帯やタバコ屋眼鏡や化粧用品やサンダルの玩具セットのようなものがひしめき合っている。
はっと思い出す。これは中国系の葬式のしきたりで、死者があの世でも家や持物に不自由せず暮らしていけるように一緒に仮想するためのグッズだったような記憶がある。

夫に祭祀用品を見てきてと頼まれていたので、私は紙のドレスや眼鏡、そして目的のわからない紙人形を購入。


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途中で例のスコールに遭遇し、薄暗い地元の珈琲店でベトナム珈琲を飲みながら、時を過ごす。
日本の鄙びた駅前の食堂みたいな、緩い時間が流れる。
ベトナム珈琲は、アルミ製の器から下のコップのコンデンスミルクに珈琲の液を滴らせて混ぜ、アイスにしてのむ飲み物で、悶絶するほど美味しかった。
ほんとは、氷とか水は衛生上あまりお勧めしない、といろんなとこに描いてあったが、一口飲んだ美味しさに負け、ごくごく飲んでしまった。


一雨ごとに地面は洪水状態になる。
水溜りを飛び越えながら、人混みのなかを手芸材料街へ向かって歩く。
仲買人が業者が忙しく往来する。

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夕暮れ、渋滞の時間は凄まじい。
タクシーの乗車拒否もこれじゃあしょうがない。
水溜りの川なのか人の河なのかわからない渦のなかで漸くタクシーにしがみつくようにして乗り込んで、宿に帰れた。

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by meo-flowerless | 2014-08-19 08:43 |