画家 齋藤芽生の日記


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ホーチミン日記8.17-2

四時ちょうどくらいにお約束のスコールが降ってきて、またお約束のように止んだ。
私達のいる二階建てのホテルは、ビジネスでグループ宿泊するときの離れのヴィラのようなもの。
一日中となりのテニスコートから誰かのプレーする声が聞こえてくる。
赤いカーペットの廊下に新しい旅行客の男性陣、あれはきっとカンボジアの美大の先生方だ。
手を振ってみたら物凄く人なつこくみんなよってきて、お互い挨拶を交わした。


私達日本のグループは、ホテルでの夕食前にちょっとでもいいから、とタクシーで、市の中心部ベンタイン市場へ。
カラフルな虫のようなバイクの光景は、二度目の目にはもう珍しいというより包装紙の模様のようなデザイン的なものに見える。



味のわからない味つき煙草かなにかのエキゾチックな紙箱と銀紙をくしゃくしゃっとしたような、アジア的アルファベットの看板群。
フランスの植民地時代の名残のアパート建築群はどんなボロ屋であっても麗しい感じ。水色にひしゃげたリンドウの花のアールデコ調鉄柵に、安いお菓子色した洗濯物が引っかかっている。
コンクリートの壁がはげて結露とともに腐れ落ちそうだ。しばらく土の眠りから覚めることのない静まりきった過去の怨念を感じる。

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ベンタイン市場の熱気はなかなか写真には撮りづらい。
腐敗臭と新鮮な果実と香辛料と汗の匂い、しつこく絡み付いてくる客引きのが鳴り声なんかがやはり写真には写らない。
アジアに行ったらやっぱりこういう市場に行くのがまず一番興奮するのはみな同じ。


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果物だけの売場と、プラスチックの果物だけの売場。
花輪や祝祭花の細工の売場。
蝶だけではなくコウモリの標本なんかも売る店。
でもこんな細部だと牧歌的にしかうつらない。
実際にはもっと全体が腸の内部のようにクサくて重くてずっしり身が詰まって猥雑だ。


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夕暮れのバイクは川のようである。
タクシーから動く水族館のように窓の外の2〜4人乗りバイクの人々の表情を見ていると様々。
親にしがみついている子供たちがこの上なくしあわせそうだし、夫が妻を、妻が夫を、恋人同士、愛してしがみつきあいながら生きるこの世の営みがが時速30kmにのせてダイナミックに感じられる。
男の子の後ろに乗っかる女の子の誇らしげな横座りはなれたもので、街のアオザイの女の子も美しいが、バイクのうしろの彼女たちも、くすぐったいほど色気がある。

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by meo-flowerless | 2014-08-18 00:58 |