画家 齋藤芽生の日記
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WISC知能診断検査
実家の書斎の棚から母が引っ張り出してきてくれた、昔使った「知能検査セット」。
先日の記事に『田中びねー式』の検査セットと書いたが、記憶違いだった。
これは『WISC知能検査セット』だ。
小学校受験前、父にこれを試されたのは、本の数回のような気がする。
児童の知能指数=IQを測るんだと!
まあ、調べた感じでは、児童の知能発達に「問題や障害が無いかどうか」というテストですね。
父は教育学をやっていたのでこういうのを持っていたんですね。
IQをどうやって測っていたのかはわからない。
たぶん別添の本かなんかあったんだろう。
この絵入りカードの珍妙なセットからだけでは、とても知能指数がはかれるなどと、想像出来ない。
いやー凄いですね。そんなの測って、どうしたかったんでしょう。
私的に垂涎の的の「小さなトランク入り」の、教育カードを中心としたキットだ。
片面の8枡には、こどもが話の文脈を正しく認識しているかを試す、絵入りのカードセット。
枡の上部には原色に塗られた立方体の積木が。
真中にはワニ皮模様の青い作業板が挟んである。
裏面には、超超超、簡易な、紙製の黄色い絵合わせパズル。
このセットで私が記憶しているのは、カードの絵のユルさだ。
カードは、いずれも3枚から6枚程度の組で、ちょっとしたエピソードの連作になっている。
それを子供は自分の頭で文脈を推測し、自分で話を組み立てながら、順番に並べ替えるのだ。
エピソードの内容はごく単純だ。
寝坊した男の子がお母さんに怒られて家を出て、学校でも居眠りしている、とか。
泥棒が捕まるまで、とか。
女の子が母親に注意されたにもかかわらずマッチ遊びをしていて、障子に引火し、家が焼け、消防車が来る、なんてツラいのもある。
そういうのが白黒の簡易なほのぼのとした図で書いてある。
けど、子供心に、
「何か.......ストーリー曖昧じゃんか...」のようなことを感じていたっけ。
どのエピソードも決してメデタシメデタシで終わる感じではないのだ。
母さんに庭仕事を頼まれ渋々それをやってからこっそり釣りに抜け出し、ルンルン気分で森を歩いているのか、今日もまた釣りにいそしんでルンルンして帰ってきたら、庭で母さんに捕まって庭仕事を命じられるのか.....
どっちともとれるような、そして、どうでもいいカードの絵の組み合わせ。
ストーリーを組み立てる時にたまにへんてこな脈絡で話を作ってしまい、そういうときは妙に父が、違う違う!と怒っていた記憶がある。
察するに、そこが狙いなのかな、とも思う。
桃太郎みたいな勧善懲悪的な内容だったら、児童はそこそこ推察出来るもんね、大団円を。
日常のありふれたもやもやした溝のようなとこを突いて、児童の世界観をあぶり出すような感じがある。
今では大分変わっているのだろうが、この当時のものは正しい常識を教え込むというより、子供個々の感覚の異常性を見つけ出そうとする側面もあったと思われる。
だから怒られたりしたときは、は子供ながらに、何となーく、理不尽な重苦しい気持ちがしたもんだ。
「なんだそれなんだそれ」
と、夫が自分へのプレゼントかと思ったのか、向こうからすっ飛んできた。
「大事なもの!雑に扱わないでよ」
「わかってるよ。はい、ちょっと問題出して」
三十歳の大人が真剣に積み木ならべをやりたがるのは、どうなのか....
と思いつつ問題カードを示し、この図形を積み木で造りなさい、と時間をはかると、難しいものでは一分もかかってた。落第......。
黄色の簡易なパズルはパラフィン紙に包まれていたが、私はあまり記憶に無い。
父が好みではなかったのだろう。白い絵入りカードの物語作りを中心にやらされた気がする。
夫は、子供が夢中で砂弄りするように、パズルの並べ替えにいそしんでいる。
「こんな顔を子供が造ったら、ちょっとおかしいという検査結果になっちゃうのかな」
と呟きながら夫は、変な顔を沢山作っていた。
確かにその基準で言ったら、ピカソなんてもう、完全に、心配すべき感性を持った人....になっちゃう。
by meo-flowerless
| 2012-03-08 02:29
| 宝