画家 齋藤芽生の日記 Twitter/ @meosaito


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女の「けもの道」

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性の匂いでもない、芸の匂いでもない。
もっとど派手なステージに登る作り込まれた人形達の陶器の肌やプラスチックの皮膚の匂い。
でも、隙なく飾り立てられた女の勝負顔は、美しい。



昨夜は銀座、その前の晩は秋葉原。このところ、ずっとあまり今まで関心のなかった町を無目的にうろついている。通りすがりには、それぞれに違う町で生きる女の人達の、かきいれ時、勝負時の緊迫感のある顔が見られる。
新宿や浅草は何となくしみったれた昭和の匂いがして写真もよく撮ったが、銀座も秋葉原もちゃんと歩いたことはなかった。
この町で職を得ている訳ではない私のような女にとってはかなり関係のない場所だからだ。




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眼に覇気を漲らせて闊歩する正装の女達。
暇そうにしている女、自分の為に気怠い時間を持て余している女は、ここにはいない。
逆に、人を待っているのか店の客引きの合間なのか、佇んで携帯をいじったり電話したりする手持ち無沙汰な黒い男達の群れ。
女の手のひらに転がされるときの子供みたいな従順な表情をどこかに浮かべている。
本命の恋人をデートに連れて行く見栄とも違い、一夜だけの無礼講の遊びとも違う。
そわそわと襟を正す感じ、見えない花束後ろに隠している感じ。
その男女の合間には恋愛や性の駆け引きとは違う、一種の同盟感覚のような不思議な交流音波が通じ合っているんだろう。
ここに集まる男が支持するのは、忙しく看板背負って立ち働く女の手腕と気風なのかもしれない。



獣に、みずからの足で切り開く痕跡の「けもの道」があるように、
彼女達が慌ただしく店や待ち合わせの場所へ行くのに、必ずショートカットで使う道というのがあるように見える。


ちょっと路地裏に入るとセーラーサンタ風のアキバ女子が競うように、小学生のかけっこ見たいにぽこぽこ何人も走り回っている。
「ごはんたべた?」「まだ」などと言いながら、学校の廊下を走るように、走っている。


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銀座はで新橋近くの界隈、店と店の間の美しい滝のディスプレーに挟まれた通路が、ホステスさん達の仕事場への抜け道になっているらしかった。
白っぽい着物やロングドレスに漆黒の上着を羽織るような色彩が流行っているのか、
それが一番女を美しく見せる色だと知っているのか、どの人も色を多用していないのに水際立っている。
朝の通勤ラッシュの男達と同じくらい無口に早足で、正装の女性が近道を行き交う様が面白い。
表通りにいるときよりも、ずっと素の真剣な表情を皆している気がする。



久しぶりに暗い部屋の鏡で自分自身の化粧気のない素顔をまじまじ見た、
とでもいうようなちょっと独特の真剣な目つきでほんの瞬間皆私をふっと見て、すらっと美しくゆきすぎる。
彼女達が蝶なら、徘徊する私は蝿みたいなもんだ。光と、影のようなもんだ。
磨き立てられたショーウインドーに映った自分の姿に自分でも愕然とする。


むかし映画の中で木の実ナナ(!)がトップダンサーのステージと舞台裏を繋ぐ細い道を幕間に、ものすごい勢いで行き来しているシーンがあったが、
白粉の匂いがもみくちゃになって行き交う、あれも女のけもの道だった。


ライヴ感のある女の人生が原色のままウヨウヨしている道。
ああ、自分にとってはどの道がその道なのかなあ.......
いやいや、こうやって地味な汚いカッコしてカメラ片手に目的もなく、
孤独に徘徊する取材の道が、私の女のけもの道なのかな。
by meo-flowerless | 2011-12-22 03:51 |