画家 齋藤芽生の日記 Twitter/ @meosaito


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なぜ私にとってドライブインが官能的に思えるか

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モーテルよりドライブインの方が、恋愛内臓にグッと来るのである。
モーテルでゆきずった男よりドライブインでごはんたべた男の方が百倍忘れられない、というような。
ま、たとえだけど。




よく、モーテルは城を模し、ドライブインはおとぎ話的山小屋を模す。
ドライブのお供には、幼年に回帰できるような童話的な場所の装置がいい、と思ったのだろうか。
誰かが。
モーテルへ道行きする男女が、童話的世界の中で痴情と言うか稚情を解放するための儀式みたいに、あの仰々しいド派手なデザインがあるのだろう。
ドライブインは、お食事する場所である。
そういう食事屋が、山小屋風なのは何故か。
長い国道のドライブは、どうも暗い山道に見立てられているらしい。
その長ーい距離を経ることが大事なのだ。そこが普通の食堂と、ドライブインの違うところだ。
行けども闇。空腹と絶望と不安と寒さに閉ざされた前途。そこにぽかっと突然現れる、小さな灯のありがたさ。

......その、ありがたさ、というとこまで書いて私は既にとても興奮した。
ありがたさに興奮するんでなく、そのありがたさの胡散臭さというか後ろ暗さ、謎めきに、官能がかき立てられるのだ。


ドライブインは別に性的な場所ではない。
加えていえば、私にとって官能的なものと性的なものが一致しているわけではまったくない。
私は、夢の王女のお城的白痴美よりも、若干不気味な、山岳回帰的な童話っぽさの方に、妙なエロスを感じてしまうらしい。



空腹と食事。車酔いと吐気。
そして『注文の多い料理店』のように、建物そのものが胃袋であるような家の感じ。
「食道」を模した、暗く不気味な山道を長く辿るとそこにある、暖かい誘惑的な「胃袋」。
そういう、性器系列でなくて、「胃袋直撃系統」の、ひょっとすると性感よりもっと強烈に切ない、官能性なのである。私がすきなエロスは。
おかしいすか?


既に女のシンデレラ世界と、まだ人間の成熟の未明にいる赤ずきん&ヘンゼルとグレーテル世界の違いだ。
家まで食べてしまう子供の肉食性。そこに待ち受けている、肥やされ、食べられるという運命。
「丸呑み」される赤ずきんの猟奇的エロス(まるのみという、血の無さが大事)。
ドライブインの典型的デザインの背後にあるのはそんな文脈だったりして。


不気味さとはほんとうは何か。
不気味が官能に響くのはなぜなのか。
いつもおまえは腹が減ってるから腹に響くんだろ!
とすかさず誰かさんにいわれそうだが。


ドライブインが私に与えてくるあの感じをどうしたら今年描けるか。
by meo-flowerless | 2011-01-07 03:08 |