画家 齋藤芽生の日記 Twitter/ @meosaito


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2010 上半期・珍名店 〜九州編

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熊本県道273沿い おそらく化粧品店

九州編で紹介する二店舗は、一つが熊本、一つが大分と場所も離れており、全く関係ないのだが、
私の中ではまるで姉妹のように記憶されている、
「そもそも何の店だったんだろう系店舗」である。




店主の脳内ひっくり返したような、混沌とした店が好きだ。
セレクトショップのように人の意思でコントロールされてコレクトされた品々の王国よりも、
モノが勝手に自分の足で寄ってきてしまいそのまま民主主義の国をあちこちで自営しているような状態の方が魅力的だ。

社会の風潮を意識した話題の現代美術展観て、
現代にマストなメッセージの読み解き方覚えてくるより、
正直な話、地方の何気ない町の雑多な店舗の中で出会う「モノ」の発信する何かの方が、
強烈に感じられてしまうことがある。

モノっていったん付加価値をはぎ取られた方が強い主張を発する気がする。
そしてその無造作な並びの配列、詰め込まれ方で生じる、奇妙なモノ同士の世界の交錯。

このことは実は、「詩」というものについて私が考えていることと、共通する。
そして、自分の表現の全ては、詩の発生と切っても切れないところにあると思っている......。

まあお店の紹介をしましょう。

上の写真は夜の熊本市内散策で出会った。
化粧品店なのか手芸品店なのかわからない。
老若問わずの「女」の、底の方のにおいがする。
ショーウィンドーに処狭しと並べてある、「メガネかけて頭に蛇乗せた骸骨」「これでもかという数の干支の置物」「海老や雷鳥の置物」。
青白い店内に、リリヤンのセットやカーマインローションやヘヤーネットなぞが、
鳥の巣に絡まるゴミ紙切れ宝物のごとく、置いてありそうな雰囲気。

しばらく外から立ち止まって見ていた。
すると商品の山の死角から、
年を重ねた日本人形のような真白い顔/黒いカツラの女主人が出てきたので、びびった。
先方も最初は佇む私を警戒して出てきたのだろうが、
私がつい「面白い置物いっぱいありますね」と取り繕った途端、堰を切ったようにフレンドリーになる。

是非中も観ろと誘われ、中へ。
基本は化粧品が置いてあるのだが、
祖母鏡台的なローションやコールドクリームやのラインナップ。
目のやり場、足の踏み場もない感じで、雑多な手芸品やポエムの色紙が置いてある。
どこかに小型犬の一匹や二匹、猫の五匹や六匹、埋もれていてもおかしくない。
こういう店お約束の、毛糸人形やキューピー(カツラ付き)、様々な書の額。

Ah ザ・トコロセマシ。

強烈なビジュアルの女主人が、かなり積極的に繰り出すとりとめもない人生の話を、
切り上げられもせず聴く。
リズム感のないラップの長尺を聴くと眠くなるのにも似た、眩暈。


旦那の所属している熊本の将棋協会の位置づけは、
これこれこれこれこげんbai!
アップリケは可愛らしかne! アタシ大好きbai!
猫のじゃれてる写真の額みて!これも愛らしかbai!
九州人は干支の置物、縁起物だけん大事にすttoyo!


真白に化粧した丸顔の女主人はアップリケを二枚も三枚もくれた。
実は全部ゴミのようなもんだから持ってってくれ的な投げやりさを、
優しい笑顔と終らない人生話に含めて、ポンポン持たせられる気がして、
名残惜しいが、夜も更けたのでおわかれしてきた。


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別府 K温泉のおそらく土産屋

女主人のインパクト、年齢、ビジュアルのゆるさにおいて、
彼女らは本当に対なる者としてこの世に生まれてきたか.....
とまで思わないけど、強烈さを分つ「何の店だ?系」。

おそらく土産屋だったのだろう。内部は帽子と人形類が多い。
ごちゃごちゃという活気ではなく、ドサドサという物置感あり。
これは長らく、客人も入ったりしていないであろう。しかし確実に店ではあるらしい....
案の定、女主人は、硝子戸に手をかけた私に一瞬、おののいた目をした。


沈黙。


何となく一個一個のモノに、
商品ではなく展示物の宝物のような「念」が込められている気がする。
この店の客をはねつける力は、なんだ?

試しに、この人形はおいくらですか?と聴くと、
浦辺粂子が地の底から呼んでいるような、無表情のだみ声で、
「.............そーれーはー売ーらなーい」

あれは?これは?と片っ端から買おうとするが、
浦辺粂子閻魔はいちいち困ったように、判決を下す。
「.............そーれもー駄目ー」
「.............そーれはーもらったもーのー」
「.............そーれはーアタシー大ー事にしてんのー」
と、取りつく島、全くなし。


もうある意味、彼女の人生の中で、ここは「お店」ではなくなっているのかもしれない。
店の外に放置してある何も入っていないワゴンに、
「50円」という黄色い値札だけがぽつねんと貼り残されてある。
そこにあったなにかだけが、唯一売ってもいい商品だったのか。
何となくアンタッチャブルな感じがして、店の外に出た。

なんとなく、店の脇に末枯れた盆栽がおいてあるあたりに目がいった。
すると、盆栽の下の鉄板トタン板等の下に、
何かチラッと記憶の片隅にある図像がある事に気づいてしまった。
ほんの一瞬。しかもこんな部分で気づくのも凄いと思う自分。

このヌードの写真版はおそらく絵時計で、
同じブツが、敬愛する大竹伸朗氏のダブ平&ニューシャネルの室内に掛けられていた。
.......ここでは盆栽の台ですか。なるほど。

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別府だし....あまりの因果に物凄い目眩がした。
by meo-flowerless | 2010-07-30 03:34 |